オーヴェルニュ地方の村にある学校の日常を撮った『être et avoir』。幼稚園から小学校最終学年までの生徒13人が、一つの教室で学ぶ複式学級で、先生はジョルジュ・ロペーズさん(55)。 真っ先に観客の心をとらえるのは、フィリベール監督も印象づけられたというロペーズ先生の、どんな時でも柔らかさを失わない声だろう。外は吹雪でも教室内はいつもあたたかい。 “ムッシュー” と呼ぶまで繰り返させるなど規律を守らせながらも、生徒一人一人に分けへだてのない愛情を注ぐ。映像を通してそんな彼の姿に触れ、先生像を改めた父兄も少なくないはずだ。生徒たちにも愛され、少し大きな町の中学校へと巣立っていった生徒も、「留年したかったのは、私だけではなかった」と語る。そのロペーズ先生が、35年の教員生活にピリオドを打ち、今年の6月で定年退職した。 カンヌ映画祭には生徒たちと招かれ、赤じゅうたんの上で記念撮影。「あれほどタキシード姿がみごとに合う人は滅多にいない」と評論家も感嘆した。(真) |
“Je voulais redoubler et j’étais pas le seul.” “A Cannes, j’avais rarement vu quelqu’un porter aussi bien le smoking.” |