舞台・映画界を通じ当代一の役者はとフランス人にたずねたら、ミシェル・セロー(74)と答えるフランス人が多いだろう。日本人には馴染みが薄いかもしれないが、映画『Mr.レディ Mr.マダム La Cage aux folles』でレナート役のトニヤッツィを相手に、奇想天外な女装のアルバンを演じ、ぼくらを抱腹絶倒させてくれた役者だ。キャバレーで鍛えられたコメディアンでは片づけられない演技の幅の広さで、審判をリンチにかけようと追い回す熱狂的なサッカーファンになりきったかと思うと、E.・べアールと老いらくの恋を演じたりなどもする。日常生活がときたまのぞかせる狂気を演じさせたら彼にかなう役者はいないだろう。 役者生活半世紀を越えたセローさんが自伝を出した。奔放な少年時代、ジャン・ルゴッフやシャルル・デュランを先生に持った修業時代、数々の演出家や名優との交遊など、読み始めたら止まらない面白さ。「舞台の不可思議さやよろこび、道化師の究極の芸などを通じ、私は次のような座右の銘を持つようになりました。いちばん優れたことは、知らず知らずにに地が出てしまうこと」(真) |
Ed.Florent Massot 366p. 21.50euros “Mystère et bonheur du théâtre, art suprême du clown qui m’ont amené à me forger comme une devise: Ce qu’on fait le mieux, c’est ce qui vous échappe.”
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