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●Reines d’un jour
 浮気にあこがれる耳鼻咽喉科の女医、仕事で写真を撮りにいった結婚式で花婿の子供を胎内に授かってしまった若い娘、仕事中に妻から離婚を言いわたされるバスの運転手、昔の恋人が訪れるというのであわてて乱雑なアパートを片付ける元テレビ料理番組のスター…クリスマス間近のパリで、これらの4人が行き逢った人や出来事と、それぞれの喜怒哀楽が織り込まれ、一枚の人間模様ができあがる。
 監督マリオン・ヴェルヌーは『だれも私を愛せない』(1993)で快調にデビュー、第二作『ラブetc』(1996)ではブランクか? と思われたがその次の『Rien a faire』 (1999)で少し立ち直り、この作品で完全に元気を取り戻した。カリン・ヴィアール、セルジ・ロペーズ、ジェーン・バーキンなど、自分の役柄を楽しみながら演じているのが感じられる。後には何も残らない軽さも、この暗いニュースの多い今日このごろには悪くない。(海)
●Le Chateau
 顔も知らぬ叔父の遺産相続者となった2人のアメリカ青年グラハムとアレン。彼らは自分たちの遺産となったフランスの大邸宅を訪れるが、そこにはまだ使用人らが行くところもなしに残っていて…。
 本作は、ややこしいが、アメリカ人監督ジェシー・ペレッツが、米・仏の俳優とともにフランスで撮影したというアメリカ映画。本作を取り巻く “米・仏” という二つの文化が互いに反応しせめぎ合う様を、ドラマの中にまで巧みに導入し展開してみせる。対立事項は “米・仏” だけに留まらない。「主人・使用人」「白人・黒人」「若い人・年寄り」…。それらは邸宅という密室空間で、ぶつかれば変形し、いつしか立ち消え、最後には鮮やかなどんでん返しを用意する。とびきり自由なシナリオとデジタルカメラ撮影がタッグを組み、コメディ・ドラマのひとつの到達点を実現した。(瑞)

● Sobibor, 14 octobre 1943, 16heures
 『SHOAH』の撮影中(1978)に、監督クロード・ランズマンは、1943年10月にポーランドのソビボール強制収容所でユダヤ人収容者たちが起こした反乱の立役者の証言を記録する。それから20年以上を経た今日、ランズマンは収容所跡を訪れ、この唯一成功した反乱の軌跡を映像に収める。ナチスの将校を斧で叩き殺した英雄の話は淡々としている。質問するロンズマンと、通訳の女性の声だけが、山場に向かうにつれ次第に高揚していく。証言の最後にランズマンが英雄に「あなたは少し青ざめていますね」と問うと、英雄は「こんな話を思い出す時に青ざめずにはいられますか」と答え、その目には涙が浮かんでいる。
 ランズマンの作品には装飾が一切ない。だから中で語られることすべてがそのまま真実として私たちの目に飛び込み、心に響く。忘れてはいけないことを記録する、映画のもうひとつのあり方だと思う。(海)