大衆芸術とは何だろう?”Un art populaire” 展

 「L’Art populaire / 大衆芸術」とは何だろう? 俗にいう「芸術家の芸術」との違いとは…?
 「芸術家の芸術」をエリートの芸術というならば、「大衆芸術」は民衆の芸術だ。それは民衆の伝統、風俗、慣習を映し出し、彼ら自身がそれぞれの社会的価値観で意味付けるものといえる。また美的見地からいえば、伝統的規範からはみ出さないようにしながら、より優れたものに作り直す芸術ともいえるかもしれない。また「大衆芸術」には、特殊な個人的主張を表現しようという気取りがない。それは自分を芸術家と全く考えていない人々の、日々の労働の合間のこしらえものともいえるかもしれない。少々裕福な人が休日を鉄道模型作りに費やし、限りなく実物に近付けようと一生かけて作り続ける…これも「大衆芸術」だ。
 豊かなブラジル大衆芸術作品は、ニューメキシコ芸術と共にこのエキスポジションの起点となっている。ここで一緒に展示されているコンテンポラリー・アーティストの、様々な表現方法を試みる作品は、「大衆芸術」との関わりを見い出そうとしている。
 それにしても、ブラジル人の作品は素晴しい。特筆すべきはArthur Bispo do Rosario(1909-1989)だ。50年間を精神病院で過ごした彼は、1000点以上の作品を残したが、これらは彼に捧げられた美術館に収蔵されている。彼は自分自身を芸術家だと考えていなかったという。ただ、最後の審判の日に現れる神のために世界に存在物の目録をつくり、序列化させたかっただけなのだった。サンバの音楽に合わせて小さな人形が踊り出すリオのカーニバルのミニチュア、Adalton Lopes(1938-)の<la Samba musicale>も忘れられない。ところで、このふたりには個性的な内省が見られない。反面、コンテンポラリー・アーティストにはそれがはっきりと見て取れる。このエキスポの目的はもしかすると「芸術家の芸術」と「大衆芸術」の境界線を取り払うことだったのかもしれない。だが、それは容易ではない。ただし、展示作品の造形的クオリティと視覚的力強さから、一見の価値のあるエキスポだろう。(ヤン / 訳:仙)  
11月4日迄(月休)

Adalton Lopes<la Samba musicale> 

*Fondation Cartier: 261 bd Raspail 14e
www.fondation.cartier.fr


Regards persans
 報道・記録写真、造形写真、ビデオ・インスタレーションなど、現代イランを代表する45人の作品展。
 イランの写真の歴史は古い。人物の形象化が禁止されるイスラム世界にありながら、ペルシア帝国時代の異文化へのおおらかさがこの国の写真文化を発展させたようだ。写真が輸入されたのは19世紀半ば。王侯貴族の注文で肖像写真撮影がなされ、ブルジョア階級が自分のカメラで家族を撮影し始めた。最初に写真館が現れたのは1868年であったという。
 1979年のイラン革命は国民だけでなく、写真家の運命も変えた。プロ、アマの写真家たちは日々の事件や身辺の出来事を追い、この歴史的事件を記録したが、この時世界から集まった報道写真家たちとの出会いが彼らを国際的規模のフォトジャーナリズムへ導いたのだった。また1980年に勃発したイラン・イラク戦争では、戦争が8年間と長期にわたったことやイラン革命の経験が、皮肉なことに写真家の技術向上につながったという。1997年の改革派政権樹立以降、現在は多くの定期刊行物が出版され、そこでの写真の役割の大きさはいうまでもない。
 この展覧会ではDeghati、Golestan、Pour Samad、Javadianらの写真が印象的だ。国際的なアートシーンで活躍するNeshatとGhazelのビデオ作品も必見。
8月31日迄。(仙)

Espace Electra: 6 rue Recamier 7e (月休)


●Andy GOLDSWORTHY (1956-)

すべてのものは絶え間なく変化する…。Goldsworthyの作品は万物の存在のはかなさと、永遠に流れる時そのものを感じさせる。7/21迄
Galerie Lelong: 13 rue de T刺屍an 8e
●Sam TAYLOR-WOOD
34歳のイギリス人女性アーティスト。写真、ビデオで不安、苦悩を生々しくリアルに表現する。7/27迄
Centre national de la Photographie:
11 rue Berryer 8e(火休)
●<Antoni Tapies ou la Poetique de la matiere>

乾いた質感、様々な素材の組み合わせからなる繊細なタピエスの作品。彼の版画を「日常のオブジェ」「天然の素材」「記号、文字、落書き」「政治」のテーマで約50点展示。7/29迄
ミッテラン国立図書館: 11 quai Francois-Mauriac 13e(月休)

●Jacques POIRIER(1928-)
Trompe-l’oeil「だまし絵」第一人者のユーモアとアイロニーに満ちた絵画。7/31迄

Galerie Michelle Boulet:14 rue la Bo師ie 8e

●Anita CONTI(1899-1997)

<La Dame de la mer>

海と、海に生きる人々を愛した女性写真家の作品。9/9迄

Pavillon des Arts: Les Halles, Porte Rambuteau 1e(月休)

●Eduardo CHILLIDA(1924-)

1958年ヴェニス・ビエンナーレで大賞を受賞したスペイン人彫刻家Chillidaは、人間、自然、空間の関係を問い続ける。9/16迄

Jeu de Paume: 1 pl. de la Concorde 1er

●<La Guerre Civile espagnole>

1936年7月共和政権に対する軍の蜂起がきっかけで始まったスペイン市民戦争は、32カ月後フランコ独裁政権確立によって終結した。50万人もの犠牲者を出したこの戦争中に撮影された報道、プロパガンダ写真など162点。9/23迄(月休)
Hotel de Sully: 62 rue St-Antoine 4e

●<Paysages d’entre-villes>

ザッキン美術館とその庭に、約10人の現代アーティストと建築家たちが都市周辺の風景をテーマに作品を展示。今日最もミステリアスで不条理な場所は都市周辺? 9/30迄(月休)
Musee Zadkine: 100bis rue d’Assas 6e
●Dan GRAHAM(1942-)

60年代ポップアートの先鋭的作家、現在も活躍するニューヨークのアーティスト。ラジカルでミニマルな写真、ビデオ・インスタレーション作品。10/30迄
Musee d’Art moderne de la ville de Paris: 11 av. President Wilson 16e(月休)

●Biennale d’Art contemporain de Lyon

6回目を迎えたリヨンのビエンナーレ。今回のテーマは「Connivence / 暗黙の了解」。ビデオゲームと現代アートのつながりを考えさせるA.Bulloch、Murakami、Kolkozらの作品のほか、ダンス、写真、音楽、フィルムなど様々な分野の作品を展示。9/23迄

Mus仔 d’Art Contemporain de Lyon/ L’Orangerie du Parc/ Les Subsistances 詳細はwww.biennale-de-lyon.org