Valet
召使のことだけれど、召使を持つ家が珍しくなった今では、こうした道具に頼るしかない。ズボンと背広がそのままかけられ、小物も整理できる。家に帰ったら、男の人はこれに洋服を脱ぎ捨てて顔も洗わずに寝ちゃう。 どこのデパートでも売っている。
Poele a marrons
穴だらけのフライパンじゃ脂が漏れて大変!と思っていたけれど、栗を炒るためのフライパンだった。”Larousse Ménager1925-26″ には、栗の皮を少し裂いてフライパンで40分炒ること、と書かれている。
Traversin
トラヴェルサンはtraverserからきている。いかにもベッドを横切っている、って感じ。この上からベッドカバーをかけると格好よくベッドメイキングができる。カバーの中にはトラヴェルサンの形に膨らみをつけたずるいのもある。
Solex
「ぼくの伯父さん」など50年代、60年代のフランス映画の街頭シーンに欠かせなかったソレックス。オートバイというよりは原動機付き自転車だ。ハンドルの下に小さなモーターがついているが、馬力不足なので、スタート時や坂道ではペダルをこがなくてはいけない。1942年に誕生。モビレット(小型バイク)の登場とともに一時姿を消してしまったが、根強いファンが多く、最近は、ハンガリー製や中国製がリバイバル。
4000F前後。
Jeu des 7 familles
トランプ?と思ったらそうじゃなくて、6人で構成される7家族のカード。ひとつでも多くの家族を集めた人が勝者となる。やさしいルールなので、老いも若きも、家族みんなで楽しめる。
Patins
フランス人は家の中でも靴を脱がないので、床が汚れる。そこで、布製のパタンの上に靴をのせ、滑るように床を移動するわけだ。モケット敷きでは滑らず、板張りの床に限る。床が磨かれるというおまけつき。今でも雑貨屋さんなどで販売。映画「犯罪河岸」ではルイ・ジューヴェ扮する警視がへっぴり腰でこのパタンにのっておかしかった。
Bouche- bouteilles
フランス人はワインと一緒に生きている。だからワインに関するオブジェは盛りだくさん。好きな人の中には、よく味のわかっているワインを製造者から小樽で買って自分でビンに詰めてしまう人がいる…倹約の精神、というよりこれは趣味の領域に入る。ハリネズミ(表紙の写真)によく洗いすすいだビンを一本一本刺して乾かしたら、ワインを樽からビンに詰め、コルクでしっかり栓をする。面倒臭いようだけれど、結構楽しい作業で、家族や友達とわいわい楽しめる。
Lit-armoire
ベッドの足の部分を持ち上げるとベッド全部がすぽっと箪笥に入って、すっきりと部屋が片づく。ステュディオなどの狭いスペースに重宝。昔の写真を見ると脇に洗面台のついたものもある。BHVなどで注文できる。意外に高価。
Poêle Godin
学校の用務員室にあったストーブの形に似ている、鋳鉄製の暖房器具。1840年からゴダンという会社によって発売され、根強い人気がある。写真の “Petit Godin” は石炭、ガス、灯油向けの3種類がある。バスチーユ脇にショールームがあるが、www.godin.frでも見ることができる。
Déboucheur
棒にゴム製の丸いおわんがついただけのシンプルなデザイン。日本だとパイプマン、フランスだとDESTOPなどの薬剤があるけれど、パイプを傷めてしまう恐れがある。排水口にこの道具を当てて二三度垂直に押し圧力を加えてやると、割と簡単に詰まりがとれて便利。
Bidet
フランス革命以前からビデは存在していた。風呂桶が普及する前からフランス人はビデと慣れ親しんでいた、というわけ。でも最近はビデの存在感が薄れてきた気 がする。「赤ちゃんのお風呂に丁度いい」とか「下着を洗濯するのにぴったり」など、女性の性器を洗う、という本来の目的以外にビデを重宝がっている人をた くさん知っている。
Assiette à devinette
食べることが好きなフランス人。延々と続く食事も終わりに近づく時、「狩人の獲物はどこ?」などのなぞなぞがイラストつきで書かれたデザート皿は、子供たちの退屈しのぎ。
Lampe berger
タバコの匂いや肉の脂の匂いなどが部屋にこもっていやな思いをする時には、Bergerというメーカーが20世紀はじめから販売している芳香アルコールランプが便利。
Rond de serviette
日本の家庭では箸や茶碗が「誰の物」と決まっているけれど、なぜかフランスではナプキンリングが「誰々ちゃん」の所有物となっている。家族ひとりひとりの名前が刻まれているものが一般的。
Panier salade
サラダを水洗いしたら、かごごと振り回して水を切るだけ、という超単純な仕組みです。庭のある人はいいけれど、パリのアパートだと窓から手を出してぐるぐる振り回すことになる。すると下を歩く人は「あれっ?」
Beurrier à eau
下の器に冷水を入れ、上にはバターを詰めてそのままテーブルに出す。バターを食べる時は上の部分をひっくり返すだけ。冷蔵庫が普及していなかった時代からある知恵です。
Moulin à légumes
これを使うと野菜のピュレが簡単にできるけれど、洗うのが面倒。「女性を解放!」とありがたがられたMoulinetteも、最近はRobotという大型でマルチタイプのものや、小型で廉価のものに押され気味。
Pièges à souris
かご型のものもあるけれど、見た目が恐ろしいのはLucifer、悪魔という名前で有名なオーソドックスなネズミ捕り。間違えて自分で指をはさむと大変!ねずみも痛いんだろうな…。
Opinel-Laguiole
1890年にサヴォア地方に住んでいたオピネルさんが発明した折り畳みナイフ。値段が安く、ハイキング用などにフランス人が一家に一本は持っているという必需品。鋼製で切れ味も抜群。ライオルの方は、中央山地で作られている折り畳みナイフ。仕上げはずっと凝っていて、値段もはるかに高い。最近、ブームを呼んでいる。
上がオピネル、下がライオル