会社の出張期間としてロンドンに滞在中の福原浩行くんは、この期間を利用して、現在パリ11区のギャラリーで写真展を開催中だ。パリ、ニース、グルノーブルと、大学時代に留学していたフランスは、彼にとって “なつかしい匂い” がするところ。
写真との出合いは、中学卒業祝いにお父さんからプレゼントされたミノルタα7000。高校入学と同時に暗室作業を開始する。高校2年生の時、外の世界が見たくなった福原少年は、カリフォルニアに1年間留学。日本とは光が違うという異国の町や自然の表情をフィルムにおさめていく。もちろん金髪ギャルの撮影も忘れない。大学は東京外国語大学のフランス語学科に入学。小さな頃から憧れのアフリカ大陸をいつか制覇したい、そのためには英語以外にフランス語の必要性を感じたのだ。
大学時代は念願のアフリカを何度も訪れ、撮影にのめり込む日々。チーター、ジャッカル、シマウマ、ヌーなど、毎日命がけで生きているケニアの動物たちはとても色っぽかったとか。
その後は写真の腕を買われ、モデル事務所で宣材写真も手掛けるようになる。大学の卒業論文は『光の化石~写真論、ロベール・ドアノーの写真から』。2年前には東京で、ケニアの作品を集めた初の写真展『AFRICA』を開催。友人宅の車庫をギャラリーに改装した個展には、住宅地にもかかわらずたくさんの人が足を運んでくれた。
やはり写真は、他の人に見てもらって生きるものかもしれない。また写真展がしたい。ならば2度目はアーティストに開かれた街、パリがいい、と思った。今回の展示は、長期にわたって撮りためてきた小動物の小さな生と死に焦点を当てたモノクロシリーズだ。
「写真とは、今までどおり楽しく付き合っていきたい」。会社勤めをきっちりこなしながら、自然体でカメラと向き合う福原くん。その手には、10年以上を経て今なお愛情を注ぎ続ける相棒のミノルタが光る。(瑞)
*写真展〈Natures vivantes・Natures mortes〉8月4日迄 (最終日には福原くんを囲んだクロージングパーティ。写真の好きな方は是非遊びに来て下さい。無料。19h30~)
Galerie arslonga : 94 rue Jean-Pierre Timbaud 11e : 01.4355.4771
引き続き8月5日~10日迄、喫茶店兼古道具屋The Troc (52 rue Jean-Pierre Timbaud 11e) でも福原くんの写真が見られます。