音楽家として挑戦の日々が始まった。

 現在、ルイユ・マルメゾン国立地方音学院に在籍し、声楽を学ぶ廣崎あけみさんがパリに来たのは2年半前。広島の音大、大学院を卒業し、その年に参加した夏期講習で習った先生に就いて学ぶためにフランスにやって来た。
 その先生に就いて習ったサン・モール国立地方音学院を昨年メダイユ・ドールで卒業し、現在の学校で再び学ぶことになった。専攻にフランス音楽を選んだのは、フォーレやドビュッシーに代表されるフランス歌曲が好きなことに加え、あけみさんの軽い声には、例えばイタリアオペラよりフランスオペラの方が合っているのだそうだ。
 パリに移住して以来、フランスの音楽に関する環境のよさにとても満足している。例えば、60フランでオペラが観られるなど日本ではまず考えられないことだし、こうした機会が多いことも魅力的だ。また、音楽家という職業に対してまわりの人々のレスペクトがあるのですごく居心地がいい。
 音楽家として、ソリストとして、成功することだけが目標ではないけれども、フランスならば大きな舞台に立つチャンスが日本よりもずっと多いので試してみたいと思っている。ただし、今いちばん頭の中を占めているのは、学期末に行われる試験コンクールのこと。試験といっても一般公開され、通常のコンクールと変わらない雰囲気で行われるのだそうだ。「あまり知られていませんが、各コンセルバトワールで学期末の6月、こうした試験コンクールが行われます。大抵の場合一般公開され、入場無料でナマの音楽を聴けるいい機会なので、音楽学生の知人をみつけて、日時などを教えてもらって足を運んでみては」
 試験が終わったら、7月には東京で2つオーディションを受け、8月、9月にはフランスで行われる国際コンクールにも出場するつもりだ。どんな芸術分野でも仕事となると現実は厳しいもの。そのうえ、東洋人としてクラシック音楽という異文化のものをやる難しさをいつも感じているというあけみさんだが、歌うことは大好きだから、もっともっといろいろなことに挑戦していきたいと思っている。「秋には、ピアニストの友人とホールを借りてパリでコンサートを催す予定です」とは、楽しみだ。(里)

エリザベート・ヴィダル先生とレッスン風景。