フランス南部の地方料理、マグレ (鴨の胸肉) やカスレがお薦めの店「オクシタニ」の名前は、中世までロワール川以南で広く話されていたオック語を使うオクシタン地方のこと。Oui のかわりに Oc というのでオック語というのだそうだ。現在はプロヴァンス、ラングドック(Languedoc←Langue d’Oc ! )、ガスコーニュ地方全般を指し、南仏キヤン出身のベルナールさんと奥さんが切り盛りするこの店の料理は、どちらかというと内陸部のものが中心。
今夜は95Fのコースから、私は野菜と挽き肉の入ったポタージュスープと豚肉のカスレをとった。鴨が大好物の友人は奮発して139Fのコースから、鴨の砂肝サラダと鴨のマグレ胡椒風味。柔らかな砂肝や、よく煮えたカスレの白いんげん豆が、なんとも味わい深い。主菜のあとにでてきた各種チーズの乗った大皿からは、熟成具合が玄人好みのものを思う存分取り分け、その上デザートも付いてきた。友人が選んだいちじくクラフティのフランベは最高! 全部すごいボリュームだ。ワインは今月のお薦め、コトー・ラングドック。
お洒落で軽めの料理店が増え、世界各国の料理が手軽に味わえる昨今、かえって地方色たっぷりのこってりとしたフランス料理が恋しくなるのは、別にあまのじゃくだけではあるまい。夏バテ防止にもなりそうだ。とはいえ、68Fのコースや54Fのランチは軽めにできているので、その時のお腹の具合を見ながら、「これぞフランス」という料理が楽しめることになっている。(仙)
Occitanie
Adresse : 96 rue Oberkampf, 75011 Paris , FranceTEL : 01 4806 4698 (土昼、日休)