ドランの作品が集まっている。
●現代美術館
サン・ピエール、サン・ポール大聖堂付属の建物だった旧司教館が、現代美術館になっている。所蔵作品2000点は、トロワ市繊維業界の大事業家ピエール・レヴィ夫妻のコレクションで、1976年に国に寄贈された1850~1950年代の作品からなっている。
クールベ、ミレー、スーラ、シニャック、ボナール、ヴァロトン、ヴラマンク、モディリアーニ、スーティン、マチス、デュフィ、ドローネー、バルテュスなどの作品に出会えるが、コレクションの中心になっているのは、レヴィ夫妻と親交の深かったアンドレ・ドランの作品だろう。フォーヴィスムからイタリア・ルネサンスへの回帰まで、ドランの変化に富んだ画業を、彫刻作品とともにたどることができる。
トロワ出身マリノ(1882 -1960) のガラス作品も見逃せない。20年代から創造的な小ビンやカップを制作、アール・ヌーヴォーとは一味違ったフォルムを創りあげている。
展示されている作品全体にレヴィ夫妻のヒューマニズム的な共感がうかがわれる。
*Musee d’Art moderne de Troyes :
Place St-Pierre 03 25 76 26 80 (月休)
●薬剤博物館 (Hotel-Dieu-le-Comte)
12世紀シャンパーニュ地方の交差点の位置を占め、当時病院が6つもあったトロワならではの博物館だ。植物や動物の絵と薬名が彫り込まれた木箱、16~18世紀の陶製の壷が、天井までみっしり壁面を埋めつくす。ねり薬や丸薬、粉薬、シロップやオイルなど、それぞれに適した壷の形の多様さ! ブロンズ製のすり鉢や、毒蛇に噛まれたときの解毒剤テリアカを入れる水盤等も展示されている。
*Musee de la Pharmacie : Quai des Comtes de
Champagne (月休:14h-18h)
●道具博物館
教会、聖堂などの建設が最盛期だった12、13世紀に、コンパニオンと呼ばれる職人の同業組合が生まれた。以後、石工、大工、鋳物師、細工師と各分野での師弟関係が、全国を回る見習い修業という形で維持され、技術の継承と職人同士の連帯を可能にした。
彼らの分身ともいえるナタやカンナ、金槌、コテ、カナトコ、ノミ、コンパス…。昔から伝わる道具の柄や側面には、聖者を象徴する図柄や頭文字が彫られていて、伝統を守るコンパニオンたちの精神を伝えている。道具は職業別、種類別にみごとに配列され、手に汗して仕事に精を出すコンパニオンたちの姿が目に浮かぶようだ。
*Maison de l’Outil et de la Pensée Ouvrière : 7 rue de la Trinite(無休)
アンドレ・ドラン「ハイドパーク」
●道具博物館