大島渚監督14年ぶりの新作だ。 “御法度 Tabou”

 大島渚ファンとしては、待ちに待った感がある『御法度/Tabou』が、カンヌ映画祭のコンペ部門で上映後の5月17日にいよいよフランスでも公開される。同監督の劇映画としては実に14年ぶりの新作だ。毎度、インパクトのある要素を投げかけ製作段階から話題をふりまく大島映画だが、今回も、新選組と同性愛というハッとさせられるテーマに加えて、キャスティングの妙に期待が膨らむ。新選組に波紋を投じる新入りの美少年隊士役には、今や伝説の男優となった、故松田優作の遺児、龍平。彼に一目惚れしてしまう同期の新入りに、隆盛の新生日本映画の核として若者たちの間で一番人気を誇る浅野忠信。近藤勇に映画監督の崔洋一。土方歳三にビートたけし。沖田総司に武田真治。ほかに、坂上二郎、田口トモロヲ、トミーズ雅といった魅惑的な配役。そして彼らは監督の目論見通り、各々が個性豊かな演技で我々を楽しませつつ強烈な印象を残す。司馬遼太郎の「新選組血風録」から二部を原作に、江戸の文芸家、上田秋成の「雨月物語」からの一編「菊花の契」が挿入される。
 映画ののっけから、(吉)を圧倒したのは”日本の美”(カメラ:栗田豊通、美術:西岡善信、衣装:ワダエミ)。京都の神社仏閣の建築美、人々の立ち居振舞いの優美に目を奪われつつ新選組とは何だったのか?という本題に引き込まれていく。幕末という波乱の時代に、任務を自らに課して結成された血気盛んな若者集団。そこに身を投じる者たちのはかない青春。男なら誰にでも潜みうるやも知れぬ同性への惑い。一人の美少年の出現が隊員一人一人の心にさざ波を立てる。彼を愛したのは誰? 彼に愛されたのは誰?謎めいたロマンがラストを余韻に包む。大島映画には品格がある! (吉)