俗語で “pompes ” は靴。 “靴の脇にいる/ 靴の脇を歩く”というのは、時流からズレていて、まわりの人とうまくやっていくことができないことを意味します。一般的にそんな人は “être dans la lune ” と月の中にいる (うわの空) か、”être dans les vapes ” と湯気の中にいる (ぼうっとしている)のです。誰かに《Tu es à côté de tes pompes. 君はズレているよ》と言われても気にしない。そういう当人こそ《Il n’est pas sur la même longueur d’onde que vous.》あなたの波長と合っていないのです。
すごく急いでいる人がいます。地下鉄通路を走っている人、映画館で最後のクレジットが流れている最中に立ち上がって出ていく人、ちょっとでも車が渋滞すると即座にクラクションを鳴らす人、フランスでも日本でも、そんな人たちは 《Ils ont le feu au derrière !-》尻に火がついているのです。
ペタンク競技の玉は ” boule ” ですが、いくらペタンクに夢中になっても” se mettre en boule 玉になる ”
ことは不可能で、怒り出すという意味です。 ” boule=colère / 玉=怒り” というのも、かなり”tire par les
cheveux” 的な表現です。それに ” boule ” は ” boule de billard ビリヤードの玉→はげ頭”、”
perdre la boule 気が狂う”、 ” avoir les boules イライラする”
などとほかの言い回しにも使われるので、混同しそう。玉になって怒り出したくなります。
「これはあなたのタマネギではないわ!」と右の女性が大切に抱えているのはタマネギ。かといってフランス人がことのほかタマネギに愛着を持っているわけではありません。《C’est pas tes oignons ! 》、《C’est mes oignons ! 》、《Occupe-toi de tes oignons ! 》とこの野菜を登場させるときは、「これはあなたの問題ではない」、「これは私の問題よ」、「私のことは放っておいて」といった意味です。また《C’est pas mes oignons これは私のタマネギではない》 などと責任逃れにもよく使われます。