14区、Porte de Vanves の近くに住むパトリックさんは、フランスで業績一位を誇るハイパーマーケットの設計を担当する建築家。昨年の12月に引っ越ししたアパルトマンに、少しずつ自分好みの空間を作っている。例えば、布貼りの壁。キルト芯のような綿を間に挟み、居間は生成り、廊下と寝室にはアプリコット・オレンジの布を業務用のホッチキスで打ちつけ、そのホッチキスの針を隠すようにチロリアン・テープで端を覆ってある。触ると弾力があってほんわり温かい。
夏にはテーブルを出してバカンス気分を満喫できるベランダの、テラコッタ色のタイルも自分で敷きつめた。
どこを見渡してもキチンと片づいていてまるでショールームのようなパトリックさんちなので、臆することなく寝室もチェック。いきなり非常口のようなドア式の窓がある。高所恐怖症や自殺願望のある人は近寄らないほうがよさそうだけれど、ここからはビルの狭間にエッフェル塔が眺められる。彼女を自宅に招いた時などは、きっとここからパリの夜景を眺めてキザなセリフを言ったりするのだろうなと想像させる造りだ。実際パトリックさんは、明るくて広い空間と静けさを確保でき、安い物件が見つかるという理由で同じ地区の10階や11階の最上階にこだわって住んできたので、その推測もあながちハズれてなさそうだ。
以前住んでいたところは、4 部屋だった壁を壊して2 部屋の明るくて広い空間に作り替えた彼の力作だった。北側の部屋は、カウンターでキッチンと居間を仕切ったcuisine americaine。キッチンの家具は、組立式を購入し自分で組み立てた。南側は、寝室と書斎が一緒になった落ちついた空間で、冬でも日光浴ができるベランダに続いていた。壁は、現在と同様のふわふわの布貼り。一人暮らしでは少々広すぎるからとこれを売りに出すと、早速若いカップルの買い手がついた。というわけで、現在の住居も改装を終えてより住みやすくなったら、また売りに出そうかと思っているところだそうだ。
オヴニーの読者から「私にもお買い得な物件を見つけて改装して ! 」なんて問い合わせがきたらどうする? と尋ねると、「パリの南部なら、是非おまかせあれ ! 」という返事が返ってきた。建築家が改装したおウチ、あなたもいかが ? (里)
14区のPorte de Vanvesから15区との境となっているSNCFの高架を越えて右に行くと奇妙な牛のハリボテと灯台が見えてくる。ここが知る人ぞ知るブルターニュ特産の新鮮な魚介類を中心に扱っている魚市場だ。特に日曜の朝は、活気でいっぱい。市場が閉まる13時が近づくと、マイクを片手にしたムッシュー・ベランジェールが、「残りの魚はキロ10フランでどうだ」とか「1 箱50フラン! 3 キロは入っているゾ」と次々とさばいていく。
ホタテ貝、舌平目が3キロ100フラン、茹でたてのエビが2キロ150フラン。サーモンやマグロなら、1 尾まるごと買うとキロあたりそれぞれ30、60フランとケタ違いに安い。安いのはいいけれど量が多いので、大人数でのパーティに利用したい感じだ。
普通の魚屋ではまずお目にかかれないブルターニュ特産のaraignee de mer (ケアシガニ)や生きたウナギを手に入れたいのなら、午前中の早い時間に行くといい。
支払いは、売り手から金額を記入したチケットをもらい、会計で支払い、支払い済みのチケットを提示してモノを受け取るシステム。支払いを済ませれば、奥の
コーナーで鱗を取ってもらったり、貝を開けてもらうこともできる。また、一袋5フランの追加料金を払えば、その場で真空パックにしてもらうことも可能だ。
*LE MARCHE AUX POISSONS :
69 rue Castagnary 15e
金・土/9h-13h 、15h30-19h 日/9h-13h