ラテンの血が騒ぐ。La Perichole

 アンリ・メイヤックとルドヴィック・アレヴィの脚本でジャック・オッフェンバックの音楽というなじみのトリオで、1868年に初演された作品。 タッタカター、といつものように軽快なリズムでさあ幕が開いた、と身を乗り出すと、おや、登場人物たちも舞台も19世紀のフランス調ではなく20世紀半ばの南米風で、しかもゲリラのように覆面をして機関銃を持った男や、変にけばけばしい装いの女たちが舞台を闊歩している。 目をぱちぱちしていたら、女装した男たちが歌い踊り始めた。
 半分アルゼンチン人の血が混じっている演出家ジェローム・サヴァリは、心が熱く、派手で騒がしく、子供のように単純で無垢な登場人物たちが、独裁者に支配されながら生きる南米の国 (とある国を皮肉っている? ) を話の舞台に選んだ。ひもじさのあまり、金持ちの権力者から受けた誘いを断れず、そのまま権力者の愛人となってしまう哀れな女ぺリコール、という筋立てさえ押さえていれば応用は自由自在。おまけにオペレッタ劇は楽しくなくては話にならないと、サンバのリズムから舞台はスウィングを始め、時にはジャージーに展開していく。 原作から見るとちょっとやりすぎ、と思えるところもあるけれど、この大胆で自由な発想と、演出以外にも歌ったり踊ったり、サヴァリ個人の趣味を押しつけながら、観客を「うーん」と納得させてしまうところはやはり凄い。もちろん好き嫌いはあるだろうけれど…。 特に第2部が良くて、あっという間の2時間半。
12/31日迄。80F~120F 。 (海)
*Theatre National de Chaillot :
Place du Trocadero 16e 
01.5365.3000



● La legende de Mademoiselle Trottemenue 
 ポンピドーセンター真向かいの小さなPierre au Lard通りにある劇場 “Essaion de Paris” は、現存の作家によって書き下ろされた芝居しか上演しない、というポリシーを1978年から守り続けている個性的な劇場だ。 ここで現在上演中の『小走り娘の伝説』は、劇場の創立に携り、現在は芸術顧問を務めるジョゼ・ヴァルヴェルドが書き下ろし、演出し、出演する。 国民の幸福を願う女性大臣 (演じるのは劇場の責任者でもあるアリダ・ラテサ) と、その大臣の行く手を阻むアメリカ人資本家(ヴァルヴェルド) の対決が、ほかの登場人物を交えてハチャメチャに展開する。 まとまりに欠け笑えないギャグが多いのは辛いが、ファビエンヌ・ショーダとディディエ・ブリースという個性的でいい味の役者が出演している。
* Essaion de Paris : 01.4278.4642



● Gin Game


 老人ホームのプレイルームで、ジンと呼ばれるカードゲームに興ずる二人の男女が描かれる。 ゲームの回を重ねるにつれ、むきだしになっていくふたりの老人の感情が、「老いること」の寂しさや怖さを訴える。 アメリカ人作家J.L.コバーンの舞台劇を、貫禄と余裕をもって演じるエレノール・イールとジャック・モクレール(演出も)にさすが、と感心。
* Theatre du Marais : 01.4278.0353



●演劇がもっと好きになる
 著者アンドレ・ドゥゲンヌは、無類の演劇好きで、自作のイラストと写真をふんだんに盛り込みながら、やさしくユーモアたっぷりにパリにある劇場の歴史を解説し、5つのグループに分類された「劇場巡り」を提案する。 手書きの字体が親しみやすく、手にとってページをめくりたくなるような楽しい本。 同著者の ”Histoire du theatre” も同じコンセプトでつくられた一冊で、演劇入門書としておすすめ。
*Andre Degaine / Guide des promenades theatrales a Paris (NIZET社発行/100F)


 

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