夢と現実の狭間で。 Rever peut-être


 役者B(ピエール・アルディティ)はある朝、セクシーな女警官から殺人容疑者として警察へ出頭するよう言いわたされる。それからというもの、口ばかり達者で役立たずのBの弁護士(ミシェル・オーモン)、女装癖を持つ裁判官(マルセル・マレシャル)、Bが主演する舞台『ハムレット』の登場人物たちや演出家が入れ替わり立ち代わりBの前に現れるのだが、さて、Bにはだんだんどれが夢でどれが現実か、わからなくなってくる。
 「生きるべきか死ぬべきか…」と『ハムレット』が描くフィクションの世界、いつも掃除機をかけてはBの目を覚ます姉と、舞台演出家に代表される現実の世界、そしてBが見る様々な夢の世界が混ざり合う(この複雑さをこともなげに演出するジャン=ミシェル・リブの手腕と、シンプルでありながら凝った舞台美術を実現したジャン=マルク・ステレに拍手)。 吹き出してしまうほど可笑しい場面がたくさんあるのに、このジャン=クロード・グランベールの戯作《Rever peut-etre》が感動的なのは、たぶん「これは夢…きっと…夢でありますように」と願いながら、出くわす様々な場面でBが見せる戸惑った表情があるからだろう。 特に、童心にかえって甘えるBを優しく包み込む母親の巨大な体は、どこかなつかしくて暖かさに満ちている。作者グランベールが、この作品を強制収容所で亡くならなければ今年100歳を迎えていた「父親に捧げる」という言葉が、この親子のふれあいに象徴されている。(海)
*Theatre du Rond-Point Champs-Elysees :
2 bis av. Franklin-Roosevelt 8e
01.4495.9810
2/19迄と3/6~4/17の公演。
水−土/20h30 火/19h30 日/15h 80F~180F


●Le Frigo / La Femme assise
 アルゼンチン出身コピの作品2本立て。誕生日に母親から巨大な冷蔵庫をもらって当惑する男の一日を描くLe Frigo(冷蔵庫)と、終日椅子に座ることを仕事に持つ女を描いたLa Femme assise (座る女)。人間の孤独、死や老いへの恐怖、暴力性、アイデンティティの喪失などを、言葉とイラストと自らの肉体で、時にはグロテスクといえるほどたっぷり(ブラック)ユーモアとともに表現したコピの世界。彼が崇拝した同郷の演出家アルフレド・アリアスと女優マリルー・マリニによって描かれる。
 途中緩慢さが感じられるLe Frigoには気持ちが少し冷めてしまったが、La Femme assiseのマリニが見せる素晴らしく肉体的で表現豊かな演技(この作品はもともとマンガだった)に心を熱くして…やれやれ気持ちよく帰途につくことができた。 2/28迄。(海)
* Theatre National de Chaillot :
1 pl. du Trocadero 16e 01.5365.3000. 火−土20h30 日15h 120F/160F



●Apres la pluie
完全禁煙を実行している企業の屋上へ喫煙しに集まる男3人、女5人の社員たち。 会社というひとつの組織内の人間関係がよく描けている。 登場人物の言動がエキセントリックなのは、原作がカタロニア人作家セルジ・ベルベルの手によるからなのか? 2月末迄。
*Poche Montparnasse 01.4548.9297




●La Fuite en Egypte
その美貌のあまりゼウスに見初められたがヘラの嫉妬から雌牛にされ、ギリシアからエジプトまで渡ったイオーの運命を描くが、ブルーノ・バイヤンの戯作ではゼウスの子供をこの世に産み落とした女の苦しみが重要な核となっている。
2/14迄。
* Theatre de Gennevilliers
01.4132.2626