どんな仕組みだろう?
ピエールさんがマリーさんに英語を教えるとする。その場合、マリーさんは、レッスンを受ける前にあらかじめ交渉したとおり、ピエールさんに80粒 (
le grain。交換価値を示す単位は、 SEL によってそれぞれ呼び方が異なる**)の交換券を渡す。マリーさんは見返りとしてピエールさんに直接何かをやってあげる必要はない。協会がピエールさんとマリーさんの “粒grain”建ての口座を管理している。協会はピエールさんの口座に80粒を振り込み、マリーさんの口座から80粒を差し引く。そのあとは、ジャクリーヌさんがマリーさんに自転車を借りたり、ピエールさんが大工仕事を手伝ってもらうためにフランソワさんに電話したり…という具合に続いていく。
1) 資源カタログ
SEL は、会員各自が提供できること、および要求していることをカタログにして発行する。同時に、会員の口座状況もはっきりと報告する。
2) 交換券 (見本を参照)
交換の価値は、2人の会員の間で自由に定められる。交換が成立したときに、交換券を3枚切ることになる。一枚は債権者(サービス・知識を提供する人)用、1枚は債務者(そのサービス・知識を受ける人)用、もう一枚は SEL の会計用だ。
ただし、信頼関係を高め、会員の負債がひどくなるのを防ぐために、負債額の限度は定められている。
*交換できるサービス、知識、物…
庭仕事、ベビーシッター、チェロのレッスン、肖像写真の撮影、会計、看護、散歩の付き添い、動物の世話、タピスリー織りの講習、タイプ、車の手入れ、朗読、料理、さまざまな修理、裁縫、アイロンかけ、子どもの衣類、本、キャンピング用品、植物の水やり、インターネットの手ほどき、チェスのレッスン、ドイツ語のレッスン、散髪、カヌーのレッスン、イチゴ摘みの手伝い、建築のアドバイス、鉛管工事、演劇のレッスン……
**交換価値単位の他の呼び方
リール : la feuille (葉) 、 l’épi (麦の穂)
ペリゴール地方 :la truffe (トリュッフ)
オーヴェルニュ地方:le chou (キャベツ),le cepe (セープ茸)
ブルターニュ地方 : la fleur (花) ,le galet (小石)
ジュラ地方 :la goutte (水滴)
カルヴァドス県 : la pomme (リンゴ)
アルプス地方 : le pollen (花粉)
アルデッシュ地方 :la feve (ソラ豆), le brin d’herbe (芽)
リヨン :le bouchon (コルクの栓)
ナント :la pétale (花びら)
ヴィルフランシュ :le raisin (ブドウ)
ミュルーズ : le bretzel (ブレッツェル)
コルマール : le radis (ラディッシュ)
交換券
左から、債務者(サービスを受ける人)用、債権者(サービスを提供する人)用、SEL の会計用の三部分に分かれている。
この SEL では、ピアフ(スズメ) が単位になっている。