● Comme un seul homme / V.A. (Virgin France)
久々のフレンチインディー入門のコンピだ。Cornelius(ちなみに独占インタビューはホームページで)も好きだというMathieu Boogaerts に始まり、お馴染みのKaterine、定番の Dominique A と The Little Rabbitsのデュオ、大御所 Pierre Barouh、ロンドン在住の Louis Philippeが同じくロンドン在住の Etienne Daho 作詞の曲を歌ったりと、押さえるところを押さえ、なんとも嬉しい限り。なにかこれっというものはないが、なぜか気持ちのいい透明感。彼らの音楽にはこのなんともいえないフランス的な「透明な音楽」がある。夏の日の夕方、木陰をとおる風のような穏やかさ。夏の夜明けの涼しさの中にしみとおる太陽の優しさ。これは買い。
(岳)
●Francesca Sollenville / Al dente (EPM)
マッコルランやアラゴンなど、詩的シャンソンを得意とするフランセスカ・ソルヴィルのこのCDは、彼女がいま最も惚れ込んでいる歌手アラン・ルプレストの詩を中心に、「ガストン・クーテ集」 を歌っているジェラール・ピエロンやジャン・フェラなどが曲を提供。政治的で一貫して硬派なスタイルを変えない彼女の個性が最大限に生かされたアルバムだ。”Al dente” は、ジプシーの人々の生活を歌った力強く明晰な歌。パリのキャバレーを歌った “Paris is beautiful” の、何と爽やかな英語の響き!ジンタで始まる “Sacre coco” は、題名通り共産党員を励ます同志の歌。さまざまな小石の物語 “J’suis caillou” は、歌手仲間や音楽業界から “今日のアラゴン” と称えられているルプレストの詩が美しい。
(南)