頑丈そうな足をキルトの裾から出して、 猛々しさを放つ応援ルック

もう、道でどんな格好の人を見ても驚かなくなってしまった。ワールド・カップ応援のために国旗を顔に描いた人、派手な帽子を被った人たちにも見慣れて、みんな凡庸に見えてくるなかで、頑丈そうな足をスカートの裾から出して猛々しさを放つこの人たちが、スコットランド戦の日に街を闊歩していた。彼らの国の伝統的男性用スカート、キルトは応援ルックのなかで際立った。少し動くと汗ばむような気候の時分にムレなさそうで二重マル。
 紀元前、イギリス諸島西部・北部に住んでいたゲール人が格子縞、色付きの毛布を身に巻きつけ、ウエストをベルトで絞って寒さと湿気をしのいだのがキルトの起源。18世紀になって、このハイランド地方独特の服がスコットランド全土に広まった。一着作るのに (格子縞が切れないようにするので) 7メートルの布を必要とするとか。紋章のように士族ごとに色や格子縞が違うが、現在登録されている模様は約1300種。王室の人々だけが着用できるローヤル・タータン、スコットランドの兵隊さんのユニフォームであるミリタリー・タータン、名家出身ではないと一目でわかるディストリクト・タータンなどもあると聞くと、歴史と伝統への彼らの思い入れに倦怠感を抱かずにはいられない。
 でも、サッカー応援の彼らは靴下も普通のものが多く、Tシャツ等と合わせたりしている。山岳地帯で愛用されていたのは動きやすさから。ギリシアにもフュスなどのスカートを山岳地帯で着る習慣があった。兵隊、回教修道僧などがまだ着用するそうだ。キルトを自然に、上品に着こなす人がだんだんと稀になってきているという声を聞くけれど、精悍な感じを受けた。スカートの裾を風になびかせて美しく見せるのは女だけではなかった。伝統に従うとパンツははかないので三重マル。

(美)

*証言 : 週刊誌に、キルトが強風にあおられて、可愛いお尻が丸見えになっている写真が載っていました。