アンフィトリオンにモリエールが重なる。 Amphitryon

 若く美しい妻アルクメネーをかえりみず戦争に旅立つアンフィトリオン。人間になりたいという欲望にかられる天の神ジュピターは、留守をいいことにアンフィトリオンに化けアルクメネーを誘惑する。アンフィトリオンの下僕ソジも、神マーキュリーにその座を奪われてしまう。戦いに勝って家に戻ったアンフィトリオンとソジの前に扉は固く閉ざされ、妻を寝取られたアンフィトリオンの心は苦悩で締めつけられる。
 ギリシア神話の登場人物たちが喜劇を演じ、自信を喪失して悩むアンフィトリオンには『タルチュフ』の失敗後にこの戯曲の筆をとったモリエールの姿が重なっている。
 歌舞伎の花道を思わせるようなユニークな舞台美術は観客に臨場感を与え、台詞の難解さ (古典フランス語) も何のその、万人が楽しめる舞台になっている。演出はマルセル・マレシャルで、息子のマチアス (なかなかの美男) と共演。(海)
*Rond-Point : 2bis av. Franklin Roosevelt 8e 01.4495.9810 火木金土 / 20h30
4/26まで (水19h30 日15h) 80~180F

● LE NOUVEAU TESTAMENT
 自殺したと勘違いされた医者。その妻と友人たちが、遺言状を開けてしまう。医者の過去の不倫、隠し子、妻の不倫など、そこには多くの秘密が暴かれていた。
 映画監督でもあったサシャ・ギトリの喜劇。熟年夫婦の倦怠、浮気への誘惑など微妙な心理描写が軽快なリズムで描かれる。演出と主演を兼任する J・L・コシェはブールヴァール劇の大ベテラン。
*Le Nouveau Theatre de Mouffetard :
73 rue Mouffetard 5e 01.4331.1199
5/3まで (火−土20h45 日15h30) 90/130F
●ASHES TO ASHES
劇作家ハロルド・ピンターが初めてパリで演出。主演はL・ウィルソンとC・ボワソン。5/17迄 Rond-Point
● LA TEMPETE
プロスペロー役のシモン・アインが素晴らしい演技を見せる。凝った舞台美術はさすがコメディーフランセーズと感心。
2 rue Richelieu 2e 01.4458.1515 5月末迄

ダンス
●岩名雅記とピア・カラスプロ

オスカー・ワイルドのテキストをベースに「ヨカナーン・虚無の強度」を踊る岩名。年老いた後日のサロメがヨカナーンの首を手に懐旧にふける。フィンランドの舞踏家カラスポロは、寡黙にして不動の樹木に霊感を受けながら生の歓びをおどる。音楽は、やはりフィンランド人のヨルマ・タピオ。