オーバカナルの成功は食空間ラテン化の象徴

 この欄で紹介するにはちょっと遅すぎた感のある原宿の『オーバカナル』(5474-0076)。朝の光が眩しいカフェテラスをはじめ、ベビーフットのあ
るサル、奥のビストロ、併設のパン屋、さらに地下の化粧室と電話コーナー、階段の意匠に至るまで、ものの見事に疑似パリ空間です。
 お昼に<ビフテク・フリット>(1700円)を食べた後、ビストロのシェフを勤める三谷青吾氏(写真・39)に会った。バスク地方をこよな
く愛する彼は、名店『トロワグロ』で活躍していた人物。素朴で力強い料理が在日フランス人の間でも人気だ。
「カフェもビストロも、日曜日の昼はビフテキを食べに来るフランス人で溢れてますね。150枚近く焼いた日もありました」
 休日には滞在時間が8時間に及ぶ人もいるという。
「開店して3年ですが、常連の方々には目的意識がありますね。妥協しない店とお客様が、互いに認め合うから居心地が良いのだと思います」
 そのため東京のフランス料理店にありがちな”女性だらけの昼食会”はほとんどない。
「テラスでは犬の飲み水用ボウルも用意しています。店の中にいてもらっても構わないのですが、保健所が飲食の場では絶対に駄目だと…」
 散歩の途中に愛犬と立ち寄る。夜、著名サックス奏者が誰かの誕生日のお祝いに即興演奏をする。花売りが来る。仏人5人を含むプロフェッショナルなギャルソンとさりげない会話を交わす。そんなサンパティックな光景が繰り広げられている。
「今フランスで修業中の若い世代が帰国するころには、食のシーンがもっと個性的で面白くなるでしょうね」
 オーバカナルを見ていると、こと食空間に関する限り、ラテン化はもはや流行を超え、文化として定着しつつあるんだなあ、と感じる。 (マ)


 

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