ごく普通の若い女性が、あるとき、自分の体がいつのまにかとてつもなく魅力的になっているのに気がつきます。引き締まった肌はどこをとってもすべらかでピンク色、胸もお尻もぐんと大きくなっているし、なによりも、いまどきめずらしいくらい「健康的」。しかし、しだいにその肉付きが限度を超え、肌の赤みが増し、灰色の斑模様が現れ、体毛が濃くなっていくにつれ、信じられないようなことが……。 読み始めは、人が豚に変身するという発想やセクシーな描写ばかりが目につくかも知れません。でも、奇抜なストーリーに引き込まれていくうちに、この物語が決してそれだけで終わらないことに気がつきます。社会諷刺、変身譚の系譜、人間性と動物性、いろんな読み方ができるのでしょうが、訳者のあとがき(これもとても面白い!)にあるように、これは…狼男と豚女の壮絶な…愛の物語です。これ以上、よけいなことは書きますまい。一昨年夏にフランスで出版された大ベストセラーです。 それにしても、マルグリット・デュラスの本とそっくりな日本版の装丁。「仏女流作家」だから? あまりにももったいないです。もっとずっとずっとエンターテイメントで新鮮なのに── いらぬ心配でしょうか? だといいのですが……。本屋に並んでもうひと月あまり。まだ書評を目にしていません。早くみんなも読んで、感想を聞かせて!
「めす豚物語 Truismes」 |