朝窓の外の雪を見て「大雪になって会社が休みになったらいいな」と思う人が意外と多いのではないかと思った。それは「雪。会社に行くのは義務?」「雪の日の欠勤・遅刻は法律でどこまで許される?」などの記事の見出しを、雪が降り始めた日から連日、多くのメディアで目にしたからだ。
荒天によって道路が封鎖されたり、電車やバスが停ってしまった場合。悪天候によって子どもを預けられない状況などは〈不可抗力〉だから、遅刻も欠席も許される。屋外で仕事をする人は、体に害を及ぼす極限の状況なら〈退去の権利〉が認められる…。ほかにも「雪を理由に早退はできる?」「予定されていた出張を、〈退去の権利〉を理由に断るのは可能?」と記事は続く。とはいえ、これらの記事には決まって「遅刻・欠勤は許されるが、働かないのだから給与もなし」というオチがあった。この結論を読んで、重たい腰をあげ雪道を会社へ向かう人が多いのだろうと思った。
パリで雪が10センチ以上積もるのは、1987年の冬以来だという。重い腰をあげて外に出ると、ふだんの灰色の街とはうって変わって白く輝く景色のなか、子どもたちが雪合戦をしながら、歓声をあげていた。(六)