Q:2016年秋にお店をオープンしたまでの経緯を、お聞かせいただけますか?
藤枝:シェフになりたい、イコール、店を持ちたい、という気持ちは、子どもの頃からあったんだと思います。2015年に勤め先が売却・閉店となり、本格的に物件を探し始めました。イメージは、20席くらいのこじんまりした、でも、開放感がある店。パリの街中、70軒ほど内見しましたが、ここは表通りと裏手の二面に窓があり、オープンキッチンというのも気に入って。ずっと18区暮らしで14区は未知の世界でしたが、ゆっくり食事の時間を楽しむお客さまが多く、自分の店でやりたかったことができていると思います。
Q:本文中でお話しいただいた「料理がもたらす語り合いの場所」のような?
藤枝:そう、「あそこに行けば、なにかイイことあるかも!」と、お客さまが足を運びたくなる店が理想です。たまたま隣のテーブルに座っていた近所のお客さま同士が、料理がすすむうちに意気投合、最後は一緒に帰っていく、ということもよくあるんですよ。
Q:そんなシェフのお料理、前菜には遊びゴコロが感じられます。デジュネは小さな3品の組み合わせだったり、ディネもガルシア風料理があったり……。
藤枝:テーブルを囲む人がそれぞれちがう料理を食べることで、お互いのひと皿の感想を言い合ったり、さらに会話が盛り上がるきっかけになったら、と。業者を入れていないので、市場などで見つけた季節の食材と相談しながら、エスニックなど多国籍なアレンジも加えてバリエーションをつけています。
Q:一転、メインにはこれぞフレンチ!という料理が多いですね。
藤枝:オープン前、妻と街中の店を食べ歩いてリサーチしましたが、パリジャンはやっぱりフレンチが好き、なんですよね。フレンチならではの肉や魚の火の通し方などは、Chamarré Montmartre で僕を見出してくれた、L’Arpège 出身のシェフ・ジェロームから多くを学ばせてもらいました。
Q:最後に、シェフのこれから、夢は?
藤枝:実際に店をオープンするまでは、「なんでも一人でやれる」と考えがちでした。でも、うれしいことに予想に反してすぐ忙しくなり、妻にもサービスで助けてもらっている今は、「ひとの力を借りてこそ」と意識も変わりました。これからは、より一人ひとりのお客さまに満足していただける料理をつくれたら。例えば、リクエストに応じて、ベジタリアンや小さな子どもでも食べれるひと皿とか……。店を大きくしたり、星を狙ったり? そういう気持ちは、全然ないです(笑)。
Aux Plumes
Adresse : 45 rue Boulard, 75014 ParisTEL : 01 53 90 76 22
アクセス : M°: Mouton-Duvernet, Denfert-Rochereau
URL : www.auxplumes.com
火~土 12h-14h30/19h30-22h30 昼:フォルミュル18€、デギュスタシオン32€ 夜:ムニュー38€、デギュスタシオン50€