L’Afrique des Routes
アフリカの歴史と文化について、古代から現代までをおさらいする、楽しくも啓蒙的な展覧会。啓蒙の対象は、アフリカについてステレオタイプのイメージを持っている人たちだ。「アフリカは多くの豊かな文化が栄えた大陸で、多文化との交流の地だった」ことを映像、写真、古文書、美術品などで伝る。「アフリカには歴史がある」。この当たり前のことが、西欧では長い間否定されてきた。西欧では「歴史」とは「書かれたものがあること」で、それが、文字がなかった「先史時代」と区別するものだからだ。そのため、文字による伝承がなかったアフリカは 「歴史がない大陸」とみなされていた。しかし、本当は人類発祥の地で、紀元前数千年前から6世紀までニジェールにあった村では農業の跡が確認されている。15世紀から19世紀までベナンにあった城塞都市を描いた絵は、空想を刺激する。河川、湖、海、陸路を通して、インドや中国から絹、真珠、陶器が伝わった。見ているうちに地図の上に無数の道が見えてくる。展覧会の最後は、フランスの植民地政策を厳しい目で分析したビデオで終わっている。(羽)
ケ・ブランリー美術館 11月12日(日)まで。 月休。