堀内智史さん(34歳)
「北海道とフランスは緯度がほぼ同じで、ジャガイモやサーモンなど、共通する食材も多い。子供の頃から食べてきた食材が、自然と多く料理に登場します」。今年6月初め、10区グラン・ブールヴァール地区にオープンしたガストロノミックレストランPassionné。シェフの堀内さんは北海道出身。この店では、シェフのルーツと経験からアイデアを得た料理を創り出している。
地元の専門学校を卒業後、ザ・ウィンザーホテル洞爺に就職。フランス料理の基礎を学んだ。料理人たちが周辺に山菜やハーブを取りに行き、また野菜は近所の農家が育てたものを使った。5年ほど働いた後、渡仏。パリ14区Le Cornichonを経て、7区Au bon accueilのシェフに就任した。とても忙しいビストロだったが、大きな経験となった。
ここで、現在の店のシグネチャーである、タコのグリエを考案。5年ほど前の、まだパリでタコ料理が珍しかった頃だ。常連客に人気はあったものの、もう出すのをやめようと思っていた矢先、有名シェフのアラン・パッサール氏が来店。「君の日本人らしさが出ている。続けた方がいい」と言われ、考えを変えた。以降、アレンジを加えながら、大切にレシピを育てている。日本の食材は使ってはいなかったが、調理の仕方の細かな工夫に気づいての発言だったのかもしれない。
Passionnéでも、日本の食材や調味料は使っていない。が食べた人からは、「日本人らしいフランス料理」だといわれる。それは、下ごしらえの丁寧さ、アイデアに満ちた隠し味、そして「温かいものは温かく、冷たいものは冷たく」にこだわるシェフの方針の現れだろう。「これからも、自分らしく日本人らしい料理を作っていきたい」。 (恵)
Restaurant Passionné
Adresse : 17 rue Bergère, 75009 Parisアクセス : M°Grands Boulevards
URL : https://restaurantpassionne.com
火〜日 12h-14h30/19h-22h30 月休 ※予約はウェブサイトからのみ可能 ランチ:カルト・ブランシュ 38€(3皿)、85€(5皿) ディナー:カルト・ブランシュ 85€(5皿)、110€(7皿)