Q:山口さんがやりたい「“つくる”フランス料理」のお話、もう少し詳しく聞かせていただけますか?
山口:僕はフランス料理の歴史や文化背景を調べることも好きなのですが、もともとフランス料理は、まだ国内で食材の流通が未発達だった時代に生まれたもの。遠くから運ばれてきた肉や魚を、どうやったらおいしく食べることができるか。そのために、食材にどんな手を加えて“つくる”のか。そういうフランス料理の本質的なところを追求していきたい。
Q:「ネオビストロ、フュージョンと呼ばれるフランス料理とはちがう」、ともおっしゃっていますね?
山口:僕自身がフランス料理を食べるとき、“おどろき”って求めていないんです。それよりも、ちゃんとお腹がいっぱいになって、ほっと安心できるほうがいい(笑)。ワインも大好きなので、たくさん呑みながらでも楽しめる、しっかりした味付けとボリュームの料理を食べたい、と思います。
Q:シェフのお料理は、まさにそんなフレンチ。でも、どのひと皿にも、香りだったり、味わいだったり、“おどろき”はたくさんありました。
山口:「料理としてはクラシック。だけど、何かがちがう!」という感想をよくいただきます。でも、めずらしい食材を足したり、花を飾ったりするのではなく、ひと皿の中で完結している世界に興味があって。例えば、今日の魚料理のソースは、メインのヒメジの頭と骨、付け合わせのブロッコリーとフヌイの残り部分を利用してつくっています。
Q:流行の最先端が集まる11区で、フレンチの原点のような料理が食べられる、というのもまた“おどろき”でした。1階ビストロ、2階ガストロノミーを同時に提供するのは、挑戦なのでは?
山口:リヨン時代にガストロノミーもブラッスリーもある300席を経験して、自分でも絶対に大きな店をやりたい、と思いました。お客さまは選択する自由を、料理人はアラカルトのライブ感とコースの世界づくり、どちらも味わうことができる。スタッフは相当大変みたいですが(笑)! でも意欲的な人ばかりが集まってくれて、チームによいエネルギーが生まれています。
Q:最後に、シェフのこれから、目標は?
山口:まずは、ボタニックを毎晩50席予約でいっぱいの店にすること!お客さまや出会う人たちの声に耳を傾けながら、自分らしいフランス料理をつくり続けて。でも店にカンヅメだけにならないよう、今年はパテ・アン・クルート世界選手権にも挑戦する予定。いまはパリがおもしろいけれど、いつか地方でも大きな店をやってみたいです。
Botanique Restaurant
Adresse : 71 rue de la Folie-Méricourt, 75011 ParisTEL : 01.4700.2780
火〜土12h15-14h30 / 19h30-22h30 昼:1階ビストロのみメニュー2皿20€または3皿25€ 夜:1階ビストロアラカルト2階ガストロノミー コース65€~。