フランスで名づける。
フランス革命以前は、フランスでは教会が戸籍を管理した。「洗礼台帳」が教区の住民登録として機能していたのだ。革命後それが国の戸籍état-civil にとってかわられ、「洗礼名」が「名前prénom」になった。
名前はカトリックの聖人暦から選ばねばならなかったのを、ナポレオンが1807年に緩和し、他の聖人暦や古代の歴史的人物などにまで選択肢を広げた。とはいえ、1993年の法律改正で自由化されるまでは、神話、地方独特の名前、名前の短縮形で愛称的なものくらいに限られ、規定外の名前は戸籍吏の判断に委ねられていたそうだ。
名前の自由化で、新しい《名前文化》が花咲き、名前の数が増えた。国の名前統計データには約33000名が登録されているが、ここにカウントされない超希少ネームもあるから実際はもっと多いことになる。スペルも自由だから、ひとつの名前からつづりの違う新しい名前が次々と生まれる(Erick-Eric-Erikなど)。
移民が仏国籍を得た時にフランス名に改名するケースは減少傾向にあるそうだ。近年の傾向では、短い名前、女の子の名前で-aや-ahで終わるものが好まれ、地方独特の名前や、外国の名前をつける人も増えている。男女で同じ名前(Dominiqueなど)も全体からすれば少数派だが、増えている。100年前に流行ったような、レトロな名前も最近の流行りだそうだ。
新生児の名前
人気ランキング
【女の子】❶ Louise(聖人暦 : 3月15日) ❷ Emma(聖人暦 : 4月19日) ❸ Chloé(聖人暦 : 10月5日) ④ Lola |
【男の子】❶ Léo(聖人暦11月10日) ❷ Gabriel(聖人暦9月29日) ❸ Adam(聖人暦5月16日) ④ Timéo |
■(写真上) 今、9カ月。女の子ならLili。男の子の場合は、夫と意見が合わなくて未定。私はLéonがよくて、夫はVictorがいい、と。固い感じが気に入りません。長男は4歳Mariusです。(Jenniferさん) ■ 2015年生まれの息子はAlexandreに。クラシックで、流行に左右されない名前。名付けガイド本は買ったけれど使わなかった。(Marie-LaureさんとPierreさん)
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■(写真上) 私は英仏ハーフ。妻はイギリス人。娘はCaroline、フランスの人には発音が難しい。候補の名を書き出しましたが、この名前だけ、潜在意識の奥から飛び出てきたようでした。(Nicholasさん) ■ 8月後半に生まれました。私(ガエルさん)は小学校教諭です。生徒にSiméonくんがいて、いい名前だなと思って。候補の名前リストを作って、消去法でこの名前に。(GaëlleさんとNicolasさん) |
◎ 今フランス人に一番多い名前
女 : Marie – Jeanne – Françoise – Anne – Monique – Catherine – Jacqueline – Madeleine – Isabelle – Nathalie
男 : Jean – Michel – Philippe – Pierre – Alain – Nicolas – Christophe – Patrick – Daniel – Christian