年金改革でフランスが半ば麻痺するなか、渦中の人物が辞任した。「年金大臣」ことジャン=ポール・ドルヴォワ年金高等弁務官、連帯・保健大臣付代表はきょう、自ら「大統領と首相に辞表を提出した」とツイート、大統領府も辞任を認めた。
フランスの閣僚は入閣時に、公職者資産透明性高等機関(HATVP)に、資産と、それまでに就いてきた任務を5年間さかのぼって申告する義務がある(有給、無償両方)。その法律に反し、デルヴォワ氏は14ものポストを兼任し、申告を怠っていたことがこの一週間で明らかになっていた。
今月8日、ル・パリジャン紙は、デルヴォワ氏がシンクタンクParallaxの責任者だったこと(月給5368.€)、保険職員を養成する教育機関の役員など、3つの職を兼任していたことを報じた。続いてル・モンド紙が、デルヴォワ氏が計13の任務に就いていたことを明らかに。今日16日マリアンヌ誌は、2015年まで経済社会環境評議会の会長を務めていたこと報じた(月給6330€)。
保険職員の教育機関の役員のポストなどは特に、保険会社が今回の年金改革に積極的なこともあり、デルヴォワ氏の年金制度改革委員の立場との利害関係が指摘されていた。
2017年7月から渦中の改革案を準備してきたデルヴォワ氏は、保守シラク派から2017年の大統領選キャンペーン時からマクロン候補支持に回った、マクロン陣営の中でもキャリアのある政治家。2年間、労組との交渉を続けてきた人物だけに、政府は苦戦を強いられそうだ。