5月29日、パリ13区ベルシー地区にあるアッコールホテル・アリーナ(収容2万人)で観客5千人の実験コンサートが行われる。演目はフランスの人気ロックグループ「アンドシーヌ Indochine」。大型コンサートでの感染リスクを分析する実験の構想は、2月にバシュロ文化相が発表しており、開催が待たれていた。
実験コンサートの参加者は、持病などがなく、感染者との濃厚接触、症状などのない18歳〜45歳で、イルドフランス地域圏在住者。政府が条件にあった参加希望者をサイトで募り、抽選でコンサート観客グループ5000人と、行かないでテストだけを受けるグループ2500人に分けた。
観客グループは計3回の新型コロナ感染検査、消毒ジェル、マスク着用。テストはコンサート3日前に抗体テスト、コンサート当日に唾液テスト、コンサート1週間後にもう一回受ける。コンサートに行かなかった2500人もコンサート1週間後にテストを受け、行った人との感染確率を比較する。コンサートは屋内、かつ着席式ではなく、ソーシャルディスタンスは特に設けず、踊ることも歌うことも可能。
政府が6月から導入予定の「衛生パス Pass sanitaire」もこのコンサートで試される。陰性証明や、ワクチン接種済み証明、回復証明などを、感染者との接触アラートアプリ「TousAntiCovid」にダウンロードするものだ。実験コンサート参加者は、コンサートの前に受けた感染テストの陰性証明をアプリにダウンロードして入場時に提示することになる。また、コンサートの晩は、カメラが観客のマスクの着用、マスクを外す時、状況などを観察する。
音楽興行組合のProdissと、パリ公立病院連合AP-HPが連携し、文化省の承認を経て行われるコンサートに、保健省は80万ユーロを出資して感染テスト、研究者などの人件費などにあてる。パリ市は会場を提供し、ほかはメセナからの出資でカバー。ロックグループはボランティアで出演。
会場となるアリーナは2万人収容で、換気システムは万全だという。3月にはバルセロナやアムステルダムでも同様のテストコンサートが行われ、バルセロナでは、コンサートによる感染は認められたなかったという。パリでの実験の結果は6月末。この夏、フェスティバルが開催できるのか、どのような形で開催されるのかを決める手がかりとなる。