デザイナーのティエリー・ミュグレーさん(73)が1月23日午後亡くなった。ミュグレーさんの広報担当者は自然死によるものだとAFP通信社に伝えている。
1948年ストラスブールに生まれ、14歳でバレエ団に入団、その後、装飾美術学校で学んだ後、20歳でパリへ上京。バレエを続けるつもりがフリーランスのスタイリストとして働くようになり、73年に自分のブランド「Café de Paris」を、翌年には「Thierry Mugler」を設立。華やかなスペクタクル性豊かなショーを自ら演出しながらコレクションを発表し続け、80年代モードを代表するデザイナーとなった。ボディ・コンシャスで妖艶、曲線美を強調した構築性豊かな服、肩が張りウエストを絞った逆三角形のシルエット。サイボーグ、ミュータント… 強い女性像をいち早く創りだした。
デヴィッド・ボウィがミュグレーをまとい結婚式もミュグレーで挙げ、グレース・ジョーンズ、ジェイムス・ブラウン、マドンナなどが続いた。「私は何であるよりも前に演出家。やりたかったのは大きなショー…モードはその手段のひとつだった」という彼は、84年にはゼニット劇場で6000人の観衆のもと有料でショーを行ったり、85年にはコメディー・フランセーズの舞台『マクベスの悲劇』の衣装70着を手がけた。1680年に同劇団が設立されて以来最大の予算だったという。広告の写真も自ら撮り、すべての分野で自分の世界を創り伝えた。
2002年にブランドを離れてからも、演出と写真を続けていた。若い世代でもレディー・ガガ、ビヨンセ、キム・カーダシアンらのスターが彼がかつてデザインしたドレスを着ているという。
▼現在、パリ装飾美術館では、「ティエリー・ミュグレー Couturissime!」開催中。