Picasso – Rodin
ピカソ美術館とロダン美術館が初めて協力し、巨匠ふたりの作品をテーマ別に、両館で見せている。ロダン(1840 – 1917)とピカソは、活動期はズレるが、ともに美術界に新風を送り込んだ革命的な美術家だ。ふたつの展覧会は、〈革新性〉というふたりの共通点を意識し、同じようなテーマをそれぞれがどのように掘り下げていったかを紹介する。
ロダンは自然主義的な表現方法に疑問を持ち、1880年代から、誇張した劇的な体の動きを取り入れるようになった。ピカソは絵画の新しい表現を求め、何度もスタイルを変えていった。
ロダン美術館では、ロダンの「地獄門」と、タピスリーになったピカソの「ゲルニカ」を同時に展示している。悲しみ、怒り、絶望といった感情を、ロダンは、ピカソは、どう表したのか。うねる体、引きちぎられた体から、二人の芸術家の身体表現の〈共通項〉と〈違い〉が感じられる。
ロダン美術館のキュレーターの話では、ロダンは習作として作った小さな石膏の体を分解してつぎはぎし、現実にはありえないが、感情を強く表す体の動きを作り出す実験を行なっていたという。人体の再構築という意味で、この話はピカソにも当てはまるようだ。どちらの美術館でも、「ありえない体の動き」で感情を表現するふたりの作品を並べて展示している。
ピカソがパリに出てきた1900年代初頭、ロダンは美術界に君臨する巨匠として、若いピカソが仰ぎ見る対象だった。バルセロナのピカソのアトリエには、ロダンの「考える人」の写真の切り抜きが貼ってあったという。ロダンの影響は後年まで続いた。1937年の「読書する大きな水浴女性 Grande baigneuse au livre」のポーズには「考える人」の影響が見られる。
ロダン美術館がロダンとピカソを芸術家として同じ目線で捉えたのに対し、ピカソ美術館の展示は、尊敬する先達ロダンから影響を受け続けたピカソ、という構図に感じられた。(羽)
2022年1月2日まで
Musée Rodin
77, rue de Varenne 75007 Paris
www.musee-rodin.fr
火〜日 10 :00-18 :30
インターネット予約を推奨
入館料13€/ピカソ美術館との共通券 21€
Musée Picasso
5, rue de Thorigny 75003 Paris
www.museepicassoparis.fr
火〜金 10h30-18h
土日祭日 9h30-18h
予約要。入館料14€/ロダン美術館との共通券 21€
Musée Picasso
Adresse : 5 rue de Thorigny, Paris , FranceURL : https://www.museepicassoparis.fr
火―金 10h30-18h、土日祭日 9h30-18h。入館料14€。ロダン美術館との共通券 21€。