高齢者施設の介護士らが一斉にストライキ。

*1月29日付リベラシオン紙「だれが親の面倒を見るのか」

全国の医療付き要介護高齢者施設(Ehpad)に勤務する人たちが1月30日、一斉にストライキを行った。7つの労組の呼びかけに、高齢者施設所長協会、退職者団体もストを支持し、過去に例を見ない広がりを見せ、スト参加率は31.8%。介護士を中心とするスト参加者は、人員増や予算増を要求している。

Ehpadは自立生活ができなくなった高齢者が暮らす施設で全国に6884ヵ所あり、43%が公立、32%が非営利目的の私立、25%が私立(2016年)。入所者は72万8千人、平均年齢は85歳、2割は認知症の症状がある。施設の収容能力は絶対的に不足しており、75歳以上の高齢者1000人に対して全国平均は98人の収容能力だが、例えばロゼール県171人に対し、パリはわずか39人と地域差がある。そのため、政府は従来から居宅介護サービスを奨励する政策を採っている。

フランスでも高齢化は進んでおり、国立統計経済研究所(INSEE)によると、65歳以上の高齢者は2016年で全人口の18.8%に当たる1252万人、75歳以上はその半数だ。85歳以上の人口は現在の150万人から2050年には500万人に達すると保健省は試算する。しかし、高齢化への対応は遅れている。北欧諸国では10人の入所者に対して施設勤務者数は10人、フランスの目標は勤務者8人だが、実態は6人に留まる。1人で1.66人の世話をする計算だが、介護士に絞るともっと多い人数になるだろう。長時間労働、夜勤、週末勤務の過酷な労働条件の上に人手不足。入所者に声をかける暇もないと介護士たちは不満をもらす。

しかも、公立と私立の施設への公的予算を2023年までに平等にするという前政権のEhpad 向け予算制度の改革で、公立施設の予算を私立へ回すことになった。それに伴い、介護関係の予算が公立施設全体で6500万ユーロ(一説には2億ユーロ)減少するといわれる。すでに不足している介護士がさらに減らされる恐れがあるのだ。中道諸党からはこの改革を延期すべきという声も上がっている。

ビュザン保健相は今年度社会保障制度予算に計上したEhpad向け支出を1億1千万ユーロ増やした上に、最近も人員不足の深刻な施設向けに5千万ユーロを追加したとしてさらなる予算増を拒み、労組との協議は不調に終わった。高齢化進展に伴って深刻化する問題だけに、長期的視野に立った政策が必要とされる。(し)