米仏英、シリアを空爆。

*米英仏の軍事攻撃を報じる4月15-16日付ル・モンド紙。

 アメリカ、フランス、イギリスの3カ国は、4月14日未明、シリアの首都ダマスと西部ホムス近くにあるアサド政権の化学兵器関連施設を空爆した。7日に南部のドゥーマでシリア政府が化学兵器攻撃を行い、多数の市民が犠牲になったことへの報復攻撃。マクロン大統領は「完全な国際的正当性がある」と主張するが、国内の世論は分かれている。

 仏政府によると、空爆による人的被害はなく、化学兵器開発・製造の主要インフラのみを破壊。本土からフリゲート艦と戦闘機を出動させ、3カ国全体の約10%のミサイルを発射。いずれの国も議会の承認を得る法的義務はなく、各首脳の独断で行われた。

 15日夜、テレビのインタビューに生出演したマクロン大統領は、化学兵器放棄を約束した2013年の国連決議をシリア政府が守らなかったことなどを挙げて空爆の正当性を説明。フランスは以前から、化学兵器使用を軍事介入に踏み切る「レッド・ライン」と公言しており、その一線が越えられた以上、「私たちの言動を信頼できるものにするために、空爆は不可欠になっていた」と主張。また、攻撃目標は化学兵器関連施設に絞り、「アサド政権に宣戦布告したわけではない」とした。

 しかし今回の行動は、国連決議、正当防衛、介入される国からの要請という国際法で定められている外国への軍事介入のどの条件も満たしていない。また米英仏は、化学兵器攻撃を行ったのはアサド政権だとしているが、物的証拠は示していない。

 空爆の是非について世論は複雑だ。共和党のローラン・ヴォキエ党首は報復としての空爆に疑問を呈し、極右・極左政党は、化学兵器の使用がアサド政権によるものである証拠がないと批判した。

 メディアの論調もまちまちで、ル・モンド 紙は、国際法上非合法な形で行われた上、化学兵器使用を止められるかも不確かだと指摘。一方、リベラシオン紙は「マクロン、闘う」の見出しで、今後の政治交渉で有利になるためにも空爆は必要だったと主張。アサドの殺戮行為を見て見ぬふりをし、空爆を批難する政治家の責任は重大だとした。

 市民の殺戮を止めるため行動を起こさなければという危機感は多くの人が共有しているが、空爆が多くの疑問を残したまま強行されたことは確かだ。「法には従っていないが正当」という大統領の主張が、正しかったと思えるような効果がもたらされることを願う。(重)