新世代のフランス古典、親子で楽しむこども人形劇。

オリジナルの人形劇20作品の物語は、それぞれ絵本(朗読CD付き・各10€)でも楽しめる。

 パリ13区、にぎやかなイタリー通り。大人の手を引いたちびっこたちが、急ぎ足で黄色い看板の掛かった門をくぐっていく。目指すは、石畳の先に隠れ家のように佇む、2~8歳の子どものための劇場La Cachette。1973年の創業から、フランス海外県を含む全国の幼稚園・小学校へ赴いて年間3,000回以上、約30万人のために人形劇を披露し続けている、3 Chardonsの常設劇場だ。

 

パリの劇場は定員180名。館内の椅子は子どもが座りやすいのはもちろん、大人の膝の上にのったり、もたれかかったり、どんな姿勢でも観劇できるよう計算されている。

 2カ月ごとにローテーションする劇場の20演目は、1976年の『Pitou l’enfant-roi』から2016年の『Gigote et le dragon』まで、すべて創業者ジャン=ピエール・イダット氏によるオリジナル作品。あふれる創造力の秘訣は、「アイデアの種が芽生えたら、ゆっくり、辛抱強くストーリーを育てること。結末にたどり着くまでは誰にも相談できない、とてもプライベートな作業」にあるそう。さらに、演出家、美術家、作曲家、イラストレーターなどとの共同作業を経て、ひとつの作品の完成までに約2年ずつ費やしてきたというから、その継続力にもおどろかされる。

心理学の修士号を持ちながら、人形劇の道を選んだ異色な経歴のイダット氏。

 けれど、幕が上がった瞬間から子どもも大人も理屈抜きで夢中になる人形劇には、やはり魅力的な役者の存在が欠かせない。たったひとりで舞台に立ち、何種類ものマリオネットを操りながら約30分間の物語を演じきる姿は圧巻だ。観客と一緒に歌ったり、手拍子を打ったりという掛け合いも絶妙で、幼児も最後まで退屈知らず。「小さかったころに観たまま!」と、感慨深げに楽しむパパやママンの姿も。

 La Cachetteは20周年を迎えたパリに続き、2016年にイダット氏の出身地ナンシー、そして今年10月にはナントにも劇場をオープン。3 Chardons
の作品が、世代を越えて語り継がれる新しい古典となる日も近いかも。(裕)

 

▪️ La Cachette des 3 Chardons

パリ:124 avenue d’Italie 75013 Paris
ナンシー:1 rue de Laxou
    54600 Villers-lès-Nancy
ナント:86 bd de la Prairie au Duc
   44200 Nantes
毎年9~5月の週末、学校のバカンス期間などに上演。料金 9€ (子ども・大人共通)。
演目・日時・予約など、詳細はHPにて。
www.lacachette.fr
www.3chardons.com


La Cachette des 3 Chardons

Adresse : 124 avenue d'Italie , 75013 Paris , France
URL : www.lacachette.fr