国の建物を市が没収、市民を住まわせる モントルイユ市長の試み。

マフェを配るボランティアの人たち

 パリ郊外のモントルイユ市バラ通りにある国の建物「バラのフォワイエ(移民用宿舎)」の住人はほとんどがマリ人の男性。老朽化し、住める状態でないことは前から指摘されていた。あまりのひどさに、パトリス・べサック市長は、9月26日、2015年から空き家になっていた別の国有の建物を没収し、急きょ住民200人を移住させた。簡易ベッドなどは市が用意した。ところが10月、市長が発した「バラのフォワイエに住むのを禁じる条令」と「国の建物を没収する条令」の無効をセーヌ=サンドニ県知事が訴えた。裁判所が訴えを認めれば、10月31日までに国の建物を出なければならない状況になった。不安を感じながらも、移転した住人たちが10月27日、支援者に感謝しアフリカ料理「マフェ」をふるまった。移転後、市民から毛布や食べ物など必需品の寄付が届いたのだ。バラ住民自治会のトゥマニ・トラオレさんは38年バラに住んだ。「1部屋が10人部屋。税金も社会保障費も払っているのに、人間の住むところではなかった」と言う。裁判所は国の建物の没収は否認したが、バラが居住不適地であると認め、移住した人たちは出ていかなくてもよくなった。しかし、バラにはまだ半数の人が残っている。冬が厳しくなる前に、温かい居場所が全員に支給されることを願わずにはいられない。(羽)