去る7月7日、国連で画期的な採択がなされた。加盟国の6割以上、122カ国が核兵器禁止条約に賛成したのだ。この条約づくりに貢献した 国際NGOネットワーク「核兵器廃絶国際キャンペーン /ICAN」に10月、ノーベル平和賞が授与された。被爆者団体をはじめ核兵器に反対する日仏両国の市民団体はICANのメンバーだが、両政府は禁止条約の採択に欠席した。
一方、原子力発電は世界的に停滞している。福島原発事故後、ドイツなど脱原発を決めた国が増え、この10年来、多くの原発建設に着手した中国ですら、2012年以降は風力発電量が上回っている。世界の電力生産における原子力の割合は10.5%で、近年は各地で再生可能エネルギーの発展がめざましい。ウェスティングハウスは倒産(東芝の大損)、仏アレヴァは大赤字(国の増資で救済)の状況だ。
さて、電力生産で原子力への依存率が世界一(72%)のフランス。2025年までにこれを50%に減らすエネルギー移行法が2015年にできたが、政権交替後もいまだ、具体的な脱原発計画は発表されない。だが、建設中のEPR(欧州加圧水型炉)と稼働中の原子炉18基の欠陥部品問題やEDFの財政困難など、仏原子力産業の技術的・財政的危機に対する認識は高まってきた。そんな原発大国・核保有国の首都パリで、11月2日から4日まで「反核世界社会フォーラム」が開催され、日本を含む世界各地から市民が集まる。(飛)
取材と文:飛幡祐規