自然史博物館。
「保存」と「学識の交流」が目的の自然史博物館は、自然の多様さに目を見開かされる場所。2300m²の空間に、過去200年間、コツコツ集められた約千点からなる博物学・民俗学的コレクションを陳列。博物館の起源は、地元の博物学愛好家クレモン・ラファイユの遺贈品だ。 1階の「ラファイユの部屋」には、年代物の美しい棚の中に貝殻やアンモナイトが並ぶ。
圧巻なのは動物ギャラリー。トラやクマ、バッファロー、シマウマなど、おなじみの動物が剥製となって大行進する。よく見るとガラスケースには、スタッフが「本物」と言い張る骸骨まであり、なんだか複雑な気分に。ラ・ロシェルの港はかつて奴隷貿易で有名だったが、まさか……。
ここで一番の注目はキリンのザラファ。1826年にエジプトから友好の印にシャルル10世に贈られ、国民を熱狂させたスターだ。パリのメナジュリー動物園には、フランス初のキリンを一目見ようと連日パリジャンが大挙して押しかけた。その中にはバルザックやショパンもいたとか。ザラファは17年半をパリで過ごし、キリンの一生を全うした。今は剥製となり、静かな博物館の階段の踊り場に佇む。