大西洋沿岸の港町ラ・ロシェルは、パリから南西へ467キロ、列車で3時間弱。水辺が恋しくなれば、週末でもすぐに出かけられる距離にある。
港にはヨットが肩を寄せ合い、カモメが優雅に旋回する。沖合にはセレブの避暑地として知られるレ島があり、橋でつながっているけれど、今回はあくまでラ・ロシェルの地に留まることにしよう。
中世の昔からフランス屈指の商港として名を馳せた港町。かつて町を守った城塞は、今は塔や時計台として残り、町のランドマークとしてそびえ立つ。青空に映える存在感たっぷりの建造物群は、歴史の重さを染み込ませている。港を見下ろす大時計台を抜ければ、昔ながらの石造りのアーケードが続く旧市街地。中世に紛れ込んだ気分が味わえる。
また、港町のイメージが強いラ・ロシェルで、意外と知られていないのが、3つのビーチ。港町もビーチも同時に楽しめるのだ。 そして、ラ・ロシェルの18キロ沖合に浮かぶのがフォール・ボワイヤール。アラン・ドロン主演の往年の名作『冒険者たち』で、印象的に登場した要塞島である。旧港から出発する観光フェリーで見学するのも一興だろう。
ラ・ロシェルを知る人も知らない人も、街の尽きない魅力に出会ってほしい。(瑞)
取材・文・写真:林瑞絵