▼インタビュー : 河西絵美さん(39歳) ソムリエ
新卒で入ったIT企業を1年で退職し、ワインの世界に入った河西さん。日本で働いたのち、35歳で1年間のフランス留学をした。
— なぜフランス留学を決意したのですか? 困難なことはありましたか。
一番の動機は「学生時代にやりたくてもできなかったこと」をやろうという気持ちでした。自分の場合、人の入れ替わりが激しいワイン関連の仕事だったので、一度辞めてもいつでも戻って来られるという確信があったので、その環境も後押ししてくれたのだと思います。
ただ、やはり留学のための資金集めには苦労しました。最大限の経験をするために、エージェンシーを使ったりホームステイをしてみたかったので、300万円が必要でした。2年間ダブルワークし、それでもギリギリ足りなかったので親にまで相談しました。
— フランス留学をしてよかった?
心から良かったと思っています。できればもっとフランスにいたかった。日本の労働環境で消耗して鬱(うつ)になる友人も見てきたので、自分のやりたいことをできた1年間は私にとって大切な休暇でもありました。また、35歳というと日本では結婚や出世をしていないといけないというプレッシャーがありますが、フランスでは「私がやりたいからやっている」と言えば、それ以上は踏み込まず受け入れてくれます。迷うくらいだったら行った方がいいと思います。今、私はフランスでの経験を活かし、またワインの現場に立っています。
▼インタビュー : 吉田佐和子さん(31歳)音楽家
吉田さんは、夫の転勤に伴い、縁のなかったフランスに降り立った。メディアを利用した新たなフランス留学を提唱する。
— 今、パリでどのような生活をしていますか?
日本ではクラリネット奏者として積極的に活動をしていたのですが、まだパリに来て4カ月しか経っていないので、音楽活動はこれからとなりますが、ひとまず今のところは語学学校が生活の中心となっています。フランス語がまったくできない状況で来たので、まずは日本人を含むアジア人の多い語学学校を選び、友達を作りながら、ゆるやかに語学を勉強しています。その傍らでずっと続けていたブログにも力を入れて、積極的に情報発信をしています。
— ブログ『よしだより』には、毎月約7万人もの訪問者、ツイッターはフォロワー数が 5千人を超えています。
音楽家としての生き方や、パリの生活などを中心に情報を発信していて、多くの方が読んでくださっています。フランスで言葉や音楽について学びながらブログやツイッターで情報発信をすることによって、世界各地にいる日本人と交流が生まれました。また、 こちらも有益な情報を得られたりするという、相乗効果をもたらしてくれることもわかりました。
また、ブログは収益を生み出してくれるメディアでもあります。広告費だったり、CDの販売だったり、収入を得る方法はたくさんあります。フランスで音楽の勉強をしても、帰国後に職がないという話をよく聞きますが、留学中にブログ運営をしながら収入源を作っていくというのも新たな留学の形ではないでしょうか。