ジェルヴァンヌ・ルリドンさんは、文化でアフリカの人々を人道的に支援する財団「アフリカンアーティスト・フォー・ディベロップメント」の運営者だ。子どもの頃、コートジボワールに住んだことがある。2009年に夫のマティアスさんと財団を設立した。活動のひとつに、難民キャンプで行うダンスのワークショップがある。ジェルヴァンヌさんの母は振付師で、1975〜80年、マース・カニンガムの影響を受けて実験的なダンスを踊っていた。その環境で育ったので、体の動きが持つコミュニケーションの力に魅了されてきた。
キャンプの難民たちは、平和な時代に持っていた習慣や地域の文化から切り離されている。「傷を負った体は、閉じるか、外に向かって開くかのどちらかです。ダンスで体の状態が整えば、会話ができるようになります」とジェルヴァンヌさんは言う。自分への信頼を回復すれば、受け入れ国の人々とも交流が可能になる。エイズや暴行、早婚などのテーマでも話ができるようになる。
難民の言葉を話す振付師たち10人のチームが年に3回、キャンプに2カ月間滞在する。振付師たちが去ったあとも難民自身が他の難民にダンスを教えられるよう、後進の育成も行う。
現在、チャド、ブルンジ、ブルキナファソなどにある平均1万人規模のキャンプで活動している。(羽)