Stanislao Lepri – Visions prémonitoires
シュルレアリスムの画家、スタニスラオ・レプリ(1905-80)の展覧会は珍しいので、会期は残り少ないが、ぜひ紹介したい。
イタリアの貴族の出身で、画家になる前は外交官だった。1942年駐在していたモナコで、アルゼンチン人の画家、レオノール・フィニと運命の出会いをする。レプリはフィニに自作の絵を見せ、続けるよう励まされた。二人は恋仲になり、フィニが亡くなるまで伴侶として生活を共にした。戦後、外交官の職を捨て画家になったレプリは、フィニの弟子と見られがちだが、彼女と出会う前から独自の作風と技術を確立していた。
彼が描くのは不思議な風景ばかりだ。シュルレアリスムのアーテイストには悪夢のような風景を描く人がいるが、レプリの絵には恐ろしさがなく、不吉さはあってもカラッとしている。夢がずれて奇妙になったような作品だ。
巨人の口から人々が外へ逃げ出す「大移動L’exode」は緊急事態のようだが、人々の表情に緊迫感がない。「イカロス・コンプレックス Le complexe d’Icare」(画像1枚目)では、これで飛べるのかと思う薄い布のような羽をつけた何人ものイカロスが、移動式の塔の窓から飛んでいく。
どこか醒めていて、夢から出る出口が隠されていそうなレプリの作品はもっと知られていい。(羽)
Stanislao Lepri – Visions prémonitoires 3/9まで
Galerie Les Yeux Fertiles : 27 rue de Seine 6e
Galerie Les Yeux Fertile
Adresse : 27 rue de Seine , 75006 Paris , FranceTEL : 01.4326.2791
アクセス : Mabillon / Odéon
URL : http://www.galerie-lesyeuxfertiles.com/
火〜土 14h-19h (土は11h-13h)