1960年代に、ブルーノートから数々の、どちらかというと地味なアルバムをリリースしたハンク・モブレー。ぼくの愛聴盤は『Workout』で、モブレーが、ふくらみのある落ち着いた音色で、じっくりと音楽を盛り上げていく演奏を聴いていると、コルトレーンの熱気はないけれど、ハードバップはいいなあ、とため息をついてしまう。音楽に大人の歌がある!
そのモブレーの後継者の一人といえば、テナーサックス奏者のウォルター・スミスかもしれない。2010年に出た『Ⅲ』は、売れっ子のトランペッター、アンブローズ・アキンムシーレやピアニストのジェイソン・モランも参加している力作だった。数年前にSunsideでのライブを聴いたのだけれど、30歳前半とは思えない、成熟した渋さがあってびっくりしてしまった。今回は、フランスのギター奏者、ロマン・ピロンのトリオのゲストとして演奏。そういえば、モブレーもギター奏者、グラント・グリーンとの相性がよかったなあ。夏枯れ状態のパリジャズシーン、聴き逃す手はない。(真)
7月22日21h30。 25€。