Vincenzo Gemito (1852-1929). Le sculpteur de l’âme napolitaine”,
いわさきちひろの絵のようなつぶらな瞳の少年だが、どこか憂いがある。ポスターになった少年の頭像が気になって、イタリアの彫刻家、ジェミート展を見た。予想をはるかに超える面白さだった。
特に若い頃を十分に見せる前半がいい。出生直後、親に捨てられたジェミートは左官夫婦に育てられた。幼少時から画家や彫刻家のアトリエで見習いをし、12歳で王立美術学校に入学した。
ジェミートには天賦の才があった。17歳の時に制作した「カード遊び」は、イタリア国王から買い上げられるという栄誉を得た。その後は成功した彫刻家人生をまっしぐらなのだが、名声を得ても、ナポリの路上で過ごした子ども時代を忘れず、貧しい子どもたちへの愛情が感じられる作品を作った。「ナポリの漁師」は、岩に座った少年が獲った魚を逃すまいとしてのけぞる動きをとらえた傑作だ。
ヴェルディのような有名人の頭像も多く制作したが、どの作品にもモデルの人間性がたっぷり感じられるのがジェミートの魅力だ。(羽)
2020年1月26日(日)まで
プチパレ美術館
Adresse : Avenue Winston Churchill, 75008 Paris1月26日(日)まで。月休、11€/9€。