
スーパーにもノンアルコールワインのコーナーが普通に見られるようになり、ノンアルワインがじわじわと浸透しつつあるなか、有名ワイン生産者もノンアルに参入し始めたと、2月26日付ル・モンド紙が報じた。
日本ではノンアルビールやカクテルなどが市民権を得て久しいが、自国産ワインを誇りとする国フランスでノンアルワインが浸透するのは難しそう、というイメージがある。高級ワインはなおのことだ。ル・モンド紙はボルドーのプルミエ・クリュ(第一級)のワイナリーがノンアルに乗り出し、2月のワイン見本市「Wine Paris 2026」にかなりのスペースを割いてノンアルワインを出品したなどと報じた。

しかし、ノンアルワインはワインの伝統的イメージにそぐわない、ワイン生産者の仕事の価値観に反している、といった反対の声も聞かれるという。オランダや英国ではノンアルワインは市民権を得ているが、フランスでは国内ワイン製造のわずか2%にすぎない。しかし、近年は一般にも受け入れられ始めており、妊婦、スポーツ選手、アルコールを受け付けない体質の人、車を運転する人、宗教的理由など、さまざまな理由でアルコールを飲まない人も飲む人といっしょに楽しめる点が受容されているらしい。
フランスでのワイン消費量は下降の一途。

フランスのワイン消費は1975年の100ℓ(成人一人当たりの1年間の消費量)から2010年は46.7ℓ、2024年は22.5ℓと下降の一途をたどっており、特に若い人たちのワイン離れ、アルコール離れの現象が指摘されている。1月1日から31日まで、1ヶ月間お酒を飲まない「Dry January」を実践した人は、2024年でフランスで450万人と推定される。ノンアル市場は拡大しており、2025年では国民の4人に一人がノンアル商品を消費したことがあるそう。Wine Paris 2026でもワインだけではないが、ワンフロア全部がノンアルコール飲料に割り当てられ、来年はさらに拡張する予定だという。
ノンアルワインは通常、専門の工場で普通のワインからアルコールを抜いて造られる。気圧を下げてワインの沸点を低くし、低温蒸留することで、アルコールを飛ばす。風味はそのまま保たれるという。手間をかけるため、値段は普通のワインよりやや高めだ。「悪くない」「よい代替品だ」という消費者の声もあれば、「ぶどうジュースのようで味に深みがない」という批判もある。
欧州議会も気候変動、欧州のワイン消費減、米国の関税などに苦しむブドウ・ワイン生産者の支援策の一つとして、ノンアルワインを促進している。アルコール含有率が0.5%以下のものは「ノンアルコール0.0%」と表示できるといった共通のルール作りなどを含む支援計画を2月10日に議会で可決。ノンアルワインは単なる流行ではなく、社会現象にすらなっているという指摘もあるように、今後もますます拡大していきそうだ。(し)

