数百品目の3ヵ月価格抑制策の合意、本格的に始動か。
食品や生活必需品の値上がり問題で、ルメール経済相と大手小売業者が3月6日に合意した価格抑制策が、当初不参加を表明していたルクレールが4月3日に参加を決め、本格的に始動したようだ。この価格抑制策「対インフレ3ヵ月」は、小売業者が自主的に選ぶ数百品目の価格を6月末頃まで最低限に抑えるもの。
食料品の価格は2月時点で昨年同時期に比べ14.5%上昇して庶民の生活を圧迫しており、対策が待たれていた。政府は昨年末、全国の大手小売チェーン店で販売する食品、洗剤・衛生用品、生鮮食品など約50品目の生活必需品の上限価格を国が定めるという「対インフレ・パニエ(籠)」を提案していた。
しかし、含める品目の内容を決めるのが難しく、政府から価格上限を強制されることに小売業界が反発し廃案に。代わりに小売業者が自由に選ぶ数百品目を「可能な限り低く抑える」ようにする「対インフレ3ヵ月」策で合意した。
システムUは2月から150品目を期限を設けずに仕入れ値を割る価格で提供中としているほか、カルフールは3月5日から食品とその他の生活必需品半々の200品目の6月15日までの価格凍結を決め、アンテルマルシェも同日、自社商標商品(PB)470品目、生鮮食品30品目の計500品目を価格抑制商品に選ぶとし、モノプリも300品目を6月末まで価格凍結すると発表した。
価格凍結は各小売業者の負担で行われるため、マージンを調整しやすい自社商標のものが中心になる。それらの品目は地域や店で異なってもよく、消費者は「trimestre anti-inflation」というステッカーで見分けることができる。その実施状況は競争消費不正抑止総局(DGCCRF)によってチェックされる。
だが、生産者・メーカーと大手小売業の卸値交渉で小売側が不利になる法案に強く反対していたルクレールは政府との協議を拒否し、独自に価格抑制を行うとして、当初は「対インフレ3ヵ月」策に参加しなかった。ところが、ほかの小売業者はこの価格抑制策で売上を上げており、ルクレールも食品・日用品979品目を「Prix Eco+」のステッカーを付けて6月末まで価格凍結する旨を4月3日に発表した。
3月22日に最終成立した前述の卸値規制法によりメーカー品の卸値が今後引き上げられ、物価上昇に影響しそうだ。公営ラジオのフランスアンフォ局の3月初めの調査では、スーパーで低価格ノーブランドの砂糖は1年で54%、小麦粉は37%、トイレットペーパーは27%も値上がりしており、庶民の生活を圧迫していることがうかがわれる。(し)