16歳の自画像から没した年の油彩まで200点を通して、アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレック (1864-1901)の生涯をたどる展覧会だ。
(羽)がずっと見ていたいと思ったのは、20歳の頃に描いたカルメンの肖像。装飾のない黒のブラウスやドレスを着た赤毛のモデルは、強い視線で素っ気なくポーズをとっている。100年以上前の作品とは思えないモダンさがあり、現代の作品と言われてもおかしくない。
没する1年前にル・アーヴルのカフェで働くイギリス人女性を描いた肖像画も、生き生きとした表情を瞬時に見事にとらえた秀作だ。晩年、アルコール中毒などで奇妙な行動を起こすようになり、この絵を描いた前年、解毒のためサナトリウムに入院していた。体が弱っても才能に陰りが見えないのがロートレックのすごいところ。
展覧会の見どころの一つは、ムーラン・ルージュの有名な踊り子だったラ・グリュが独立してキャバレー小屋を開いたときにロートレックに注文して描いてもらい、小屋の壁に貼った縦横3メートルの巨大な2枚の絵だ。キャバレーの踊り子たちを描いた作品の集大成といってもいいだろう。
短い生涯を駆け抜けて36歳で死んだが、なんと豊かな人生だったことだろうか。(羽)
Grand Palais (Square Jean Perrin入口から。Avenue du Général Eisenhower, Paris 8ème) 2020年1月27日まで。モンマルトル美術館で開催中の、同時代の作家の作品を集めたLa collection Weisman & Michel, Fin de siècle – Belle époque(1880-1916)もおすすめです。
GRAND PALAIS, GALERIES NATIONALES
Adresse : 3 avenue du Général Eisenhower, 75008 Paris , Fanceアクセス : Champs-Élysées - Clemenceau
URL : www.grandpalais.fr