10月20日(日)
Tabea Zinmmermann(タベア・ツィンマーマン)/ Quatuor Belcea(べルチャ弦楽四重奏団)
ヴィオラは、明るく歌うヴァイオリンと深い響きのチェロにはさまれ、目立たない存在だが、モーツアルトはこの楽器から弾き出される、しっとりとあたたかい音色をこよなく愛した。またこの楽器の名手でもあり、新たに書いた弦楽四重奏曲の初演には自らヴィオラを弾いたという。
彼の、ヴァイオリンとヴィオラのための協奏交響曲K364からアンダンティーノを聴いてみよう(*video)。ヴィオラがソロをとると、心の底にひそんでいた哀愁が水泡となって水面に浮かび上がってくるような感動にとらわれる。このビデオでヴィオラを弾いているタベア・ツィンマーマン(写真)がパリ公演。
この世界屈指のヴィオラ奏者とべルチャ弦楽四重奏団が選んだ曲目は、モーツアルトの弦楽五重奏曲K406とK515という素晴らしい贈りものだ。K406**の第1楽章アレグロの、充実したハーモニーと切迫感あふれる音の流れは、二つのヴィオラの演奏があってのものだ。メヌエットはカノン形式だけに弦楽器の各声部の動きがあざやかにきこえてくる。モーツアルトの室内楽曲の中でもファンが多いK515***の、たとえば第一楽章のアレグロでは、ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロが、この曲からあふれる喜びを等しく共有する。メヌエットのロンドでの優雅で柔和な響きもヴィオラなしには生まれない。ベートーヴェンも遠くないこの大傑作が、どんなふうに演奏されるのか大いにたのしみだ。(真)
Théâtre des Champs-Elysées
Adresse : 15 av. Montaigne, 75008 Paris , FranceTEL : 01.4952.5050
アクセス : M° Alma Marceau
URL : https://www.theatrechampselysees.fr/saison-2024-2025/tabea-zimmermann-quatuor-belcea
35€/15€(26歳未満) / 無料 (9歳未満)。いずれも自由席。