
11月5日、「シーイン Shein」(中国のオンライン・ファストファッション)がパリのデパートBHV内に初めて売場をオープンした。かねてから中国における環境破壊や労働環境の劣悪さ、ダンピングなどが批判されていたために、BHV内に売場を構えていたブランドが次々と撤退を表明。また、地方都市*にあるデパート「ギャラリー・ラファイエット」内にも出店することで、ギャラリー・ラファイエット側が店名を名乗ることを拒否し、BHVと店名を変えるなどの動きがあった。
*ランス、アンジェ、ディジョン、グルノーブル、ルマン、リモージュ、オルレアン

ところが、コーナーの開設の数日前になって、少女をかたどったラブドールがシーインのサイトで販売されていたことが発覚し批判が炎上。オープン当日の朝、BHVの前で「小児性愛を止めさせろ!」「BHVは恥だ!」などと、小児性愛被害者の団体が抗議した。
パリ市議会議員、国民議会議員らも駆けつけ、反対を表明。グレゴワール国民議会議員は「欧州も国も、小児性愛ポルノ的ラブドールが販売されていたことが発覚してから『知らなかった』は、あまりにも無責任。何十年前から規制はあるのに、なぜ遵守されないのか」と憤った。「フランス的生活様式を販売するBHV内に、EUとフランスの労働基準に違反するシーインが出店するのは許しがたい。消費者にも、安くても低品質で劣悪な環境で作られたものは買わないよう責任を認識してほしい」。
抗議の後、政府は、シーインのサイトに対し、フランスにおける業務一時停止の手続きを開始することを表明。

シーインは、2018年のフランス進出以来2300万人の顧客をつかみ、販売点数でフランス第1のアパレル企業になったが、仏競争当局が7月に4000万€の罰金を、全国自由情報委員会(CNIL)も9月初め、シーインの違法なトラッキング・クッキーに対し、1億5000万€の罰金を科している。

