Le modèle noir de Géricault à Matisse
フランス美術界が 「黒人モデル」をテーマとして扱ったことがなかったのは、その分類が差別になることを危惧していたからかもしれない。展覧会のきっかけを作ったのは、モネの「オランピア」に描かれた黒人女中が美術史で無視されていることに驚いたアフリカ系アメリカ人女性だった。そのモデルを研究して博士号を取った彼女は、アメリカで黒人モデルをテーマに展覧会を開催した。
アメリカに触発されてオルセーが企画したのは、フランス革命直後まで年代をさかのぼった黒人モデル史だ。展覧会のはじめに掲げられた「マドレーヌの肖像」はフランス革命後に奴隷から解放された女性がモデルになっており、元の題は「ネグレスの肖像」だった。ネグレスは差別用語なので、その後「黒人女性の肖像」になり、モデルの名前が判明したので、この展覧会でオルセーが改題した。
展覧会の協力者には、教育を通して人種差別をなくすための財団を作った元サッカー選手のリリアン・テュラムなどがいる。オルセーの展覧会の中でも、社会性の強さは、死刑制度を扱った「犯罪と罰」展以来だ。混血のアレクサンドル・デュマ(父)のような有名人も出てくるが、多くの無名のモデルに光を当てたことに注目したい。7月21日まで。(羽)
Musée d’Orsay
Adresse : 1 rue de la Légion d'Honneur, 75007 ParisTEL :
アクセス : M°Solférino
URL : http://www.musee-orsay.fr
月休、 9h30-18h 木-21h45。14€/11€