Revolving Doors – Man Ray
「回転扉」は、マン・レイ(1923-76)が1916年から17年にかけて制作した一連のコラージュ作品。彼が1921年パリに移住し、ダダの、そしてシュルレアリスムの中心人物となる前の作品だ。当時のアートや美の規範、社会的な慣習を打ち壊し、新しいアートを創り出そうというダダの運動を背景に制作され、抽象的、幾何学的な形や線、原色が観る者を想像の世界へと誘う。作品は、1919年にはニューヨークのダニエル・ギャラリーで展示され、その後1926年、ステンシルで制作されたものがリトグラフに。その後もシュルレアリストの刊行誌「ミノトール」に1935年に掲載された。
10区の「レ・ドゥッシュ・ラ・ギャラリー」(les douches=シャワー。かつて公衆浴場の建物が住宅とギャラリーになっている)では、この作品をもとに1973年、フレデリック・バシェルリーとピーター・シューンワルドがマン・レイの監督のもと制作したタピスリー (ウールとコットン) 作品7点が展示されている(ほかにもマンレイの写真作品も)。1972年「回転扉」シリーズのリトグラフが再発行され、それを見たタピスリー作家ふたりの創造性を触発されたのだ。一連のタピスリーが制作された1973年、マン・レイは83歳。アトリエがある4階まで階段を登れなかったが、抱えられて制作現場を見に来たという。マン・レイにとって「回転扉」は、1916年の創作開始から、長い間歩みを共にした作品となった。(11月10日まで)
Les Douches la Galerie
Adresse : 5 rue Legouvé , 75010 Paris , FranceTEL : 01 78 94 03 00
アクセス : Jacques Bonsergent
URL : lesdoucheslagalerie.com
入場無料。水〜土 14h-19h / 他はアポ制