パン大国フランスにおいて、美味しいパンを売るパン屋さんは少なくないけれど、試せば試すほどにお気に入りが増えて、行くたびに次が待ち遠しくなる、そんなお店はやっぱり貴重。9区と10区に店を構えるこのお店、ファンも多くて、お昼時には連日行列ができている。堅焼きパンから菓子パン、調理パンまで、それぞれ種類も豊富で、どれにするか迷ったあげく、毎回必要以上に買ってしまう。
このパン屋がただ者ではないと思うきっかけとなったパンは、大きな長方形のブリオッシュに、たっぷりのチョコレートが練りこまれたBabka。東欧やユダヤ文化圏でよく見られるもので、日本でもマーブルチョコ食パンとしてお馴染み。チョコレートの類い稀なる質に衝撃を受け、のちにヴァローナのものだと聞いて納得した。世界のトップパティシエが愛することで有名なヴァローナ社のチョコレート。なんとも贅沢で、一口ごとに陶酔してしまう禁断の味。一斤9.5€、切り売りなら17€/kgで買える。シュー生地に生クリームを挟んだシュー・ヴァニーユ(1€)も素晴らしい。甘さ控えめの軽いクリームはバニラの香りが鼻へと抜けていく。
所狭しと並んでいた調理パンは、14時を過ぎるとほとんど何も残らない。高級ハムLe Prince de Parisとコンテチーズをはさんだフォカッチャ(4,9€)はぜひトーストしてもらおう。バターが香るフォカッチャに、脂身まで旨味の凝縮されたハムととろけたチーズが合わさって、至福の時が得られる。ローストチキンやローストビーフをはさんだバゲットサンドイッチや、種子の詰まった雑穀パンなど、どれを食べてもハズレがない。(み)
・ 45 rue Condorcet 9e
Tél : 01.5321.0368 M° Anvers
・ 32 rue du Château d’Eau 10e
Tél : 01.4208.4202 M° Jacques-Bonsergent
火~土8h-20h (土-19h)日月休